六回、中日・堂上直の打球を好捕する阪神・マートン=那覇(撮影・岡田亮二)【拡大】
電光石火の先制劇だった。一回一死から大和、鳥谷の連打で一、三塁となったところで、田島のフォークを鮮やかに左前へと運んだ。2点リードの六回には先頭で右前打。直後の新井の2点本塁打をお膳立てすると、七回には芸術的なバットコントロールで、右翼線へ落とす二塁打。6月9日のロッテ戦(甲子園)以来、1カ月ぶりとなる猛打賞を記録した。
「3」を加算し、今季の安打数は大台の「100」に乗った。1位の中日・ルナ(107安打)が左ひざ痛で戦線を離脱しているため、球宴までのトップ奪還も完全に視野にとらえた。
チームを4連勝へと導く4番の固め打ちに和田監督も「マートンは、コンスタントに打ってくれている。先制点もそうだし、つなぎもそう。このところマートンらしい打撃をしてくれているね」と最敬礼。頼もしげに目を細めた。
特別な「OKINAWA」-。マートンにとって、単なる1つの地方遠征ではない。来日した2010年から、キャンプ地として過ごしたたくさんの思い出が詰まった地。敬けんなクリスチャンは休日を利用しては、地元の教会へと拝礼に足を運んだ。地元の子どもたちとも触れ合う機会を多くし、胡屋バプテスト教会の渡真理(とまり)牧師(58)は「マートンはみんなのスーパーヒーローなんです」と誇らしげに語る。
海人(うみんちゅ)の尊敬を集めるM砲は「長い時間を過ごしてきた土地。その間に仲良くなった人もいるし、戻ってこれてよかった」と目尻を下げた。契約最終年。また戻ってくるヨ-。そんなうれしい言葉を、今度は聞きたい。 (栃山 直樹)
(紙面から)