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セシウム濃度上昇 対策強化の必要指摘
7月10日 4時17分

セシウム濃度上昇 対策強化の必要指摘
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東京電力福島第一原子力発電所の観測用の井戸の地下水から放射性物質が高い濃度で検出された問題で、監視を強化するため新たに掘られた井戸では、放射性セシウムの濃度が4日間で100倍余りに上昇し、専門家は、東京電力が行っている汚染水の流出を防ぐ対策や調査をさらに強化する必要があると指摘しています。

福島第一原発では、ことし5月以降、海に近い観測用の井戸の水から高い濃度の放射性物質が検出され、東京電力は監視を強化するため新たに井戸を掘って調査を続けています。
これらの井戸の1つでは、採取した水に含まれる放射性セシウムの濃度が今月5日から8日にかけて90倍に上昇し、9日の測定ではセシウム137の値が1リットル当たり2万2000ベクレルと、5日の値の100倍余りにさらに上昇しました。
これまで東京電力は、事故直後のおととし4月に2号機の近くで海に流れ出た高濃度の汚染水がしみ込み、この放射性物質が検出された可能性があると説明していましたが、土に吸着されやすいセシウムの濃度が上昇したことで、おととしの汚染水の流出だけでは説明がつかなくなっています。
東京電力は原因を調べるとともに、流出を防ぐため井戸に近い護岸に薬剤を入れて固める工事を行い、観測用の井戸を増やして監視を強化することにしています。
これについて、地下水に詳しい産業技術総合研究所の丸井敦尚総括研究主幹は、建屋などから新たに汚染水が漏れ出している可能性を考えて「護岸を固めるだけでなく、原子炉を囲むように鋼鉄製の仕切り板を打ち込み、さらにその隙間に水を通しにくい粘土を入れるなどして、何重にも対策をとるべきだ」と述べ、海への流出を防ぐ徹底した対策が必要だと指摘しています。
そのうえで、調査について「地下水は横だけでなく上下にも動くので、さらに敷地内の広い範囲に観測用の井戸を設けるほか、沿岸の海底で地下水が湧き出している場所の調査も行い、地下水の全体的な流れを把握したうえで、抜本的な対策を立てるべきだ」と話しています。

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