サンフランシスコ国際空港での韓国アシアナ航空機事故について、米事故調査当局は8日から、原因究明のため同機のパイロットに対し事情聴取を続けている。しかし関係筋によれば、英語力に限界があるため、聴取が順調に進んでいないという。
米調査官たちは8日、パイロットの事情聴取にほぼ10時間費やした。だが同筋によると、6日の事故発生当時にコックピット内部で何が起こっていたのかという最も重要な点については9日まで聴取できなかった。
米運輸安全委員会(NTSB)は8日から、通訳の助けを借り、韓国の事故調査官の同席の下に、事故を起こしたアシアナ航空214便に搭乗していたパイロット4人のうち3人への事情聴取を開始した。事故機は、余りに低空かつ低速で着陸しようとしたため、空港の滑走路手前の海壁に尾翼部が接触し、機体もその直後ばらばらに分解した。乗客2人が死亡し、多数が負傷したが、パイロットたちはいずれも無傷だった。
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パイロットに対する事情聴取は9日も継続したが、関係筋によれば、翻訳(通訳)を正確なものにするため非常な努力を払っているという。
事故発生当時に操縦桿を握っていたLee Kang-guk氏は9日に事情聴取されたが、同型機の飛行経験はわずか43時間しかなかった。同型機でのサンフランシスコ国際空港の着陸も初めてだった。同氏は他の機種の旅客機では豊富な飛行経験がある。
長年777型機の操縦経験のあるLee Jeong-min氏を事情聴取した。関係筋によれば、同氏はトレーニングキャプテン(教官機長)としては初飛行だったという。
調査の謎は、なぜ2人のパイロットが衝突のわずか7秒前まで飛行機が著しく減速していることを議論しなかったのかという点だ。このことはボイスレコーダー(音声記録装置)の記録から判明している。この時までに飛行機は急速に降下しつつあり、最終着陸進入態勢のためにコックピットクルーが選択していたスピードよりも毎時約30マイル(約48キロ)も遅く飛行していた。
パイロットや安全専門家たちによれば、大半の航空機は、高度1000フィート(約30メートル)ないしそれ未満に降下した時、速度があらかじめ設定していた目標から時速10ないし12マイル外れている場合は、アプローチ(着陸進入)を中止し、エンジン出力を増して機体を上げるよう義務付けている。
パイロットの事情聴取の進展状況について、NTSB広報担当官は「コミュニケーションの誤りが一切ないようにするため、ゆっくり進めたい」と語った。
NTSBのデボラ・ハースマン委員長は9日、CNNテレビに対し、事情聴取は「極めて順調に進んでいる」と述べ、「パイロットたちと面会して、彼らが何を考えているのか理解したい」と語った。同委員長はそれ以上詳細に明かさず、NTSBはコメントを避けた。
関係筋によると、調査対象となっている問題に関してアシアナ航空が繰り返し公式に発言していることをめぐってNTSBと同航空との間で不協和音が生じており、これが米当局の調査を一段と複雑にしているという。
事故調査の初期段階で通常行っているように、NTSBはアシアナ航空幹部に対し、このような発言をしないよう要求した。だが、アシアナ航空は調査官の正式データが公表もされていないのに、ボーイング777型機のエンジンが適切に動いていたかに関する同航空の見解などを公にした。
米調査官と話した関係者2人によれば、NTSBはアシアナの発言を制御できないことにいら立っているという。NTSBの広報担当官は「われわれは情報公開に関してアシアナ航空と協調している」と述べている。
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