【湯浅博の世界読解】孤立恐れているのは中国 ケリー国務長官が驚いた元高官の解説 (1/2ページ)

2013.07.03

 米国のブッシュ共和党政権の元高官が最近、ケリー国務長官とアジア問題で協議した際に、長官から「どうして日本はアジアで孤立しているのか」と問われた。知日派の元高官が「それは中国と韓国だけのことで、日本の安倍晋三政権は、他のアジア諸国から歓迎されている」と答えると、びっくりしていたという。

 最近、ある日米安全保障に関係した集まりで聞いた話である。元来、アジアへの関心が薄かったケリー長官に対する国務官僚の説明が不十分だったか。あるいは、中国による「世論戦」の成果かもしれない。

 中国は日本政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化して以来、尖閣諸島問題がただの領土紛争ではなく、日本による「侵略の歴史」が原因として歴史カードを多用した。

 だからこそ、東アジアを熟知する米国の知日派人脈が重要になる。知日派の元高官は、ケリー長官に「孤立を恐れているのは、むしろ当の中国なのだ」と解説を加えており、長官は東アジア情勢への学習効果を高めたに違いない。

 実際、日本がアジアの海をめぐる案件で孤立することは考えにくい。中国は南シナ海の大半を「力で支配」しようと、ベトナム、フィリピンの沿岸国と対立し、東シナ海では尖閣諸島を奪取しようと日本と対立している。

 彼らは中華帝国の伝統理念である「華夷秩序」を海洋にまで持ち込んできた。中心部には中華があり、帝国は外縁に向かって序列の低くなる異民族を統治する。東南アジアの小国には中国の巨大市場をちらつかせ、必要なら経済支援もする。狙いは日米と東南アジア諸国連合(ASEAN)の分断であり、ASEAN内にもまた、南シナ海の沿岸国とインドシナ半島内陸の国々との間にクサビを打ち込んできた。

 

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