ヒーローインタビューで巨人の阿部を真似て「サイコーで〜す!」と叫ぶ田中。右は3打点のマギー=東京ドーム
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◇楽天5−0日本ハム
楽天の田中が散発の4安打に抑え、今季2度目の完封で開幕12連勝を飾った。打線は1回にマギーの二塁打で先制。2回は島内がソロ、3回はマギーが2ランを放ち、5回にも加点した。日本ハムは武田勝が崩れ、勝率5割に逆戻り。
『神腕』が止まらない。4万3683人の大観衆の前で今季2度目の完封。楽天の田中は最後の打者、中田を遊ゴロに抑えると、勝利の雄たけびを上げた。鉄腕の稲尾(西鉄)を超えるパ・リーグ歴代4位の40イニング連続無失点。絶対エースが開幕12連勝を飾り、チームは単独首位の座をガッチリと守った。
「ジャイアンツの阿部さんの言葉を借りて…。みなさん、最高でーす!」。マギーと並んだお立ち台。大観衆を前に、気持ちが高揚した。この日は楽天グループの「お客様感謝祭」として東京ドームでホームゲームを開催。「年に1度。こういう形で勝つことができて、本当に良かった」。ホスト役としての責任を果たした。
調子は決して良くなかった。それでも、付け入るスキを与えない。右打者に対してはツーシームを多投し、スコアボードに「0」を並べた。大谷との対決は死球、四球、遊ゴロ。4月9日の初顔合わせでは3打席を完璧に封じ、「簡単に打たれたら面白くない」と意地を張った。この日もカットボールで内角を攻め、厳しさを伝えた。
この日の朝、星野監督は夏の熱気を肌で感じながら、手応えを口にしていた。「予想以上。球宴まではイーブンか、ちょっとの貯金があれば、と考えていた」。ただ、満足することもない。「オレが理想を追わなくて、どうするんや。無理だと思っても理想を追う」。就任から3年。理想は現実に近づいている。
「マー君、神の子、不思議な子」は野村元監督の言葉。いまや、田中の快投に不思議はない。どのような状況でも結果を残し、「僕はいつもゼロに抑えるために投げている。その中でお客さんに楽しんでいただければいい」と余裕すら漂わせる。
チームの貯金12は田中が稼いだ数字。視察したヤンキース、レンジャーズ、オリオールズなどメジャー6球団にも強烈な印象を焼き付けた。球団初のペナントレース制覇に突き進む楽天。その中心には『神エース』がいる。 (井上学)
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