【ワシントン=矢沢俊樹】国際通貨基金(IMF)は9日発表した世界経済見通しで、今年の世界経済の成長率見通しを下方修正した。ユーロ圏の景気後退に加え新興国減速が響き、今年の成長率は3.1%と、4月時点の予想より0.2ポイント下がる。積極的な財政・金融政策を進める日本の成長率見通しは2.0%と、0.5ポイントの上方修正。日本は先進国で最も高い成長率となり、米国とともに世界経済を下支えする。
2013年の成長率見通しは世界経済の成長をけん引してきた新興国が軒並み下がった。新興・途上国は全体で5.0%。4月予想から0.3ポイントの下方修正。中国は7.8%と0.3ポイントの下方修正。金融市場の混乱などで、成長率の伸びが鈍化するとの見方が強まっているためだ。
中国と貿易面でのつながりが深い周辺国も景気に下押しの圧力がかかる。インドネシアとマレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの5カ国の成長率も0.3ポイント下方修正し、5.6%とした。
景気後退に見舞われるユーロ圏の現状は一段と厳しさを増している。13年はドイツの成長率を下げたほか、フランス、イタリアでも成長率のマイナス幅が広がる。
一方、米国は13年の成長率が1.7%にとどまりそう。ユーロ圏と比べると相対的に米景気は底堅いといえるが、足元では財政引き締めの影響などが強まるためだ。ただ、住宅などの民需の回復基調は衰えておらず、13年下期には成長力を取り戻し、14年は2%台後半の成長率に回復する見込み。
日本の13年の成長率見通しは2.0%と、米国を抜く勢い。IMFは「消費と純輸出に支えられ予想以上に成長が力強い」とした。為替相場が円安となったことで輸出競争力が高まっており、民間調査機関では年内は四半期ごとに年率3%台の高成長が続くとの見方が有力になっている。
世界経済は金融危機後の10年に5.2%の成長率を記録した。だが11年は3.9%、12年は3.1%まで減速。最新予測では13年も昨年並みにとどまるとの見通しを示した。14年の予測は3.8%と13年より回復する見通しを示したが、米国が量的緩和政策の見直しにいつ踏み切るかなど不透明な要因も多い。
日本も14年の成長率は1%台前半に減速するとの見方を示した。13年の高成長は2月に成立した総額10兆円規模の経済対策と、来年4月の消費増税を控えた駆け込み需要で膨らんでいる面がある。景気は回復基調にあるものの、消費増税後は再び低い成長率にとどまるとの見方だ。
IMF、下方修正、成長率見通し
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