7月9日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ユーロ、対ドルで3カ月ぶり安値-ECB長期緩和観測で
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで下落。3カ月ぶりの安値水準を付けた。欧州中央銀行(ECB)の当局者が金融緩和について、今後1年以上続く可能性を示唆したため、ユーロ売りが膨らんだ。
ユーロは主要通貨の大半に対して下げた。ロイター・インサイダーテレビによると、ECBが長期にわたり政策金利を低水準にとどめると表明したことについて、アスムセン理事はこの期間が12カ月を超えると発言した。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日、経済政策について講演する。議長が金融緩和を近く縮小するとの見方が台頭している。
ゲイン・キャピタル・グループ(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「アスムセン理事からハト派的な発言があったようだ」と指摘。「ドラギ総裁は前日にECBの緩和姿勢をあらためて表明した。ECBの緩和政策がユーロを圧迫するだろう」と語った。
ニューヨーク時間午後2時11分現在、ユーロは対ドルで0.8%安の1ユーロ=1.2771ドル。一時は1.2755ドルと、4月4日以来の安値を付けた。対円では0.8%安の1ユーロ=128円98銭。円は対ドルでほぼ変わらずの1ドル=100円99銭。
◎米国株:4日続伸、決算を楽観-FOMC議事録と議長講演に注目
米国株 は4日続伸。企業決算が予想を上回るとの期待に加え、米金融当局の緩和縮小に耐えられるほど経済成長は力強いとの楽観が相場を支えた。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前日比0.7%上昇の1652.32。ダウ工業株30種平均は75.65ドル(0.50%)高の15300.34ドル。
ウェルズ・ファーゴ・アドバンテージ・ファンズ(ウィスコンシン州メノモニーフォールズ)のチーフ・ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ヤコブセン氏は「企業決算の内容が関心を集めている。決算発表が本格化するまでは、明日公表されるの連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を待っている状況だ。それ以外の材料は取るに足らない」と述べた。
S&P500種は過去4営業日で2.4%の値上がり。5月15日以来で最長の上昇局面となった。米金融当局による緩和縮小に対する不安が重しとなったものの、予想より良好な経済統計が株価を支えた。市場は10日に公表される連邦公開市場委員会(FOMC、6月開催)の議事録に注目している。同日にはバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演も予定されている。
◎米国債:ほぼ変わらず、3年債入札は11年以来で最高の落札利回り
9日の米国債 はほぼ変わらず。午後に実施された3年債入札(320億ドル)の落札利回りは2011年6月以来で最高となった。米金融当局が資産購入のペースを減速させるとの観測が背景。
3年債入札の結果によると、最高落札利回りは0.719%。5月に実施した3年債入札の最高落札利回り(0.354%)を2倍強上回った。米国経済は十分に力をつけ、金融当局は資産購入の縮小を開始できるとの観測を背景に利回りは上昇してきた。米当局は6月18-19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を10日に公表する。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は、「これまでは厳しい売りに見舞われた後、入札では魅力的な利回り水準に引き付けられた旺盛な需要が見られた」とと指摘。「どこかの時点で緩和策は縮小されると市場関係者は見込んでいる。しかし利上げが近く実施されることはないだろう。これがある程度利回りの上昇に歯止めをかける」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後3時38分現在、既発3年債利回り はほぼ変わらずの0.68%。10年債利回りは2.63%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は923/8。
◎NY金:続伸、中国のインフレ加速でヘッジ需要-現物買いも続く
ニューヨーク金先物相場は続伸。中国のインフレ加速を背景に、ヘッジとしての金買いが優勢になった。宝飾品やコイン、延べ棒の需要も増えた。
中国国家統計局が9日発表した6月の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比2.7%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想中央値の2.5%上昇を上回った。5月は2.1%上昇だった。スタンダード・バンクはリポートで、アジアの金需要は中国での購入に関する報道に支えられていると指摘した。
貴金属関連の調査などを手掛けるキトコの世界取引担当ディレクター、ピーター・ハグ氏はリポートで、「中国のインフレがやや加速したとのニュースで金価格は押し上げられた」と指摘。「アジアからの現物需要は続いている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比0.9%高の1オンス=1245.90ドルで終了した。
原題:Gold Rises for Second Day on China Inflation, PhysicalDemand(抜粋)
◎NY原油:小反発、1年2カ月ぶり高値-株高と在庫減観測で
ニューヨーク原油先物相場は小反発し、1年2カ月ぶり高値に達した。米景気への楽観で株価が上昇したことが背景にある。米原油在庫の減少予想も価格を支えた。
株式市場ではS&P500種株価指数が4日続伸し、5月以降で最長の連続高。ブルームバーグがまとめた調査では、エネルギー省が10日に発表する統計では原油在庫が4カ月ぶりの水準に減少したとみられている。エジプト暫定政府は議会選挙を7カ月以内に実施し、政権移行を押し進める方針を示した。スエズ運河では正常運航が続いている。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「株式市場が原油価格を少し押し上げている」と指摘。「在庫はまた減少したと見込まれている。投資家は統計前にショートのままにしておきたくないだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比39セント(0.38%)高の1バレル=103.53ドルで終了。終値としては2012年5月2日以来の高値。
原題:Crude Rises to 14-Month High as Stocks Gain Amid SupplyOutlook(抜粋)
◎欧州株:約1カ月ぶり高値、鉱山株に買い-アルコア決算を好感
9日の欧州株式 相場はほぼ1カ月ぶりの高値となった。決算シーズンが始まった米国で、アルミ生産最大手アルコアの利益が予想を上回ったことが好感された。
鉱山株が高い。中国を中心に世界のアルミ需要が増えるとの見通しを、アルコアが示したことが手掛かり。フランス電力会社(EDF)は2008年10月以来の大幅上昇。料金引き上げの発表が買いにつながった。フランスのブランド品大手、モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)は2.1%上昇。イタリアのロロ・ピアーナの株式80%を取得することを明らかにした。
ストックス欧州600指数 は前日比0.8%高の294.58で引けた。これは6月10日以来の高値。年初来安値を付けた先月24日以降では、6.9%上げている。
PFAペンション(コペンハーゲン)のシニアストラテジスト、ウィトルド・バーク氏は、「今週は決算への関心が高まっていくだろうが、それでもなお金融政策の影響力が大きい。米金融当局の緩和策縮小に伴う株式への影響は、少なくとも長期的には国債ほど壊滅的なものにはならないと認識されつつあるようだ。結局のところ、緩和策縮小は経済の回復力が高まっている兆候となるからだ」と話した。
9日の西欧市場では18カ国中12カ国で主要株価指数が上昇。英FTSE100指数は1%上昇。独DAX指数は1.1%、仏CAC40指数は0.5%それぞれ上げた。
原題:European Stocks Advance as Alcoa Report Boosts EarningsOptimism(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債上昇、IMFが景気見通しを下方修正-英国債続伸
9日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇し、10年債利回りは2日連続で低下した。国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率予測を下方修正したことから、域内で最も安全とされる同国債の需要が高まった。
欧州中央銀行(ECB)が長期にわたり政策金利を現行またはそれを下回る水準に維持すると表明したことについて、アスムセン理事はこの期間が12カ月を超えると発言した。ロイター・インサイダーテレビが報じた。
ポルトガル国債も上昇。欧州連合(EU)のギリシャ向け追加支援合意で債務危機悪化への懸念が和いだ。ギリシャ10年債利回りは一時、先月20日以来の水準まで下げた。
RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・スタメンコビッチ氏(エディンバラ在勤)は「IMFの経済見通しは、世界景気がまだ脆弱(ぜいじゃく)で、特に欧州が苦戦していることを示した」とし、「これがドイツ国債への支援材料となったのは明白だ。ECBは数値基準は明らかにしないようだが、フォワードガイダンス(時間軸政策)の詳細について説明するもようだ」と語った。
ロンドン時間午後5時現在、ドイツ10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.65%。4日には1.60%まで下げ、先月20日以来の低水準となった。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.395上げ98.615。
IMFは今年の世界経済の成長率をプラス3.1%と、昨年と同水準にとどまると予想。4月時点ではプラス3.3%を見込んでいた。米景気拡大の鈍化と中国経済の減速、欧州のリセッション(景気後退)深刻化を指摘した。
アスムセン理事はECBが長期リファイナンスオペ(LTRO)を再開する可能性を排除していないとも語った。
英国債相場は続伸。比較的安全を求める動きが背景にある。指標の10年債利回りは前日比5bp低下し2.43%。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.39上げ94.42。
原題:German Bunds Rise as IMF Cuts Growth Forecast; Spain BondsDrop (抜粋)Pound Slides to 3-Year Low as Factory Output Unexpectedly Falls(抜粋)
更新日時: 2013/07/10 05:33 JST