7月9日の米国マーケットサマリー:株は4日続伸、ユーロは下落
7月9日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.2784 1.2870 ドル/円 101.06 100.97 ユーロ/円 129.20 129.95 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 15,300.34 +75.65 +.5% S&P500種 1,652.31 +11.85 +.7% ナスダック総合指数 3,504.26 +19.43 +.6% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .36% +.00 米国債10年物 2.63% .00 米国債30年物 3.64% +.01 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,245.90 +11.00 +.89% 原油先物 (ドル/バレル) 104.00 +.86 +.83%◎NY外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで下落。3カ月ぶりの安値水準を付けた。欧州中央銀行(ECB)の当局者が金融緩和について、今後1年以上続く可能性を示唆したため、ユーロ売りが膨らんだ。
ユーロは主要通貨の大半に対して下げた。ロイター・インサイダーテレビによると、ECBが長期にわたり政策金利を低水準にとどめると表明したことについて、アスムセン理事はこの期間が12カ月を超えると発言した。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日、経済政策について講演する。議長が金融緩和を近く縮小するとの見方が台頭している。
ゲイン・キャピタル・グループ(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「アスムセン理事からハト派的な発言があったようだ」と指摘。「ドラギ総裁は前日にECBの緩和姿勢をあらためて表明した。ECBの緩和政策がユーロを圧迫するだろう」と語った。
ニューヨーク時間午後2時11分現在、ユーロは対ドルで0.8%安の1ユーロ=1.2771ドル。一時は1.2755ドルと、4月4日以来の安値を付けた。対円では0.8%安の1ユーロ=128円98銭。円は対ドルでほぼ変わらずの1ドル=100円99銭。
◎米国株式市場米国株 は4日続伸。企業決算が予想を上回るとの期待に加え、米金融当局の緩和縮小に耐えられるほど経済成長は力強いとの楽観が相場を支えた。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前日比0.7%上昇の1652.32。ダウ工業株30種平均は75.65ドル(0.50%)高の15300.34ドル。
ウェルズ・ファーゴ・アドバンテージ・ファンズ(ウィスコンシン州メノモニーフォールズ)のチーフ・ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ヤコブセン氏は「企業決算の内容が関心を集めている。決算発表が本格化するまでは、明日公表されるの連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を待っている状況だ。それ以外の材料は取るに足らない」と述べた。
S&P500種は過去4営業日で2.4%の値上がり。5月15日以来で最長の上昇局面となった。米金融当局による緩和縮小に対する不安が重しとなったものの、予想より良好な経済統計が株価を支えた。市場は10日に公表される連邦公開市場委員会(FOMC、6月開催)の議事録に注目している。同日にはバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演も予定されている。
◎米国債市場9日の米国債 はほぼ変わらず。午後に実施された3年債入札(320億ドル)の落札利回りは2011年6月以来で最高となった。米金融当局が資産購入のペースを減速させるとの観測が背景。
3年債入札の結果によると、最高落札利回りは0.719%。5月に実施した3年債入札の最高落札利回り(0.354%)を2倍強上回った。米国経済は十分に力をつけ、金融当局は資産購入の縮小を開始できるとの観測を背景に利回りは上昇してきた。米当局は6月18-19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を10日に公表する。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は、「これまでは厳しい売りに見舞われた後、入札では魅力的な利回り水準に引き付けられた旺盛な需要が見られた」とと指摘。「どこかの時点で緩和策は縮小されると市場関係者は見込んでいる。しかし利上げが近く実施されることはないだろう。これがある程度利回りの上昇に歯止めをかける」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後3時38分現在、既発3年債利回り はほぼ変わらずの0.68%。10年債利回りは2.63%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は923/8。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は続伸。中国のインフレ加速を背景に、ヘッジとしての金買いが優勢になった。宝飾品やコイン、延べ棒の需要も増えた。
中国国家統計局が9日発表した6月の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比2.7%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想中央値の2.5%上昇を上回った。5月は2.1%上昇だった。スタンダード・バンクはリポートで、アジアの金需要は中国での購入に関する報道に支えられていると指摘した。
貴金属関連の調査などを手掛けるキトコの世界取引担当ディレクター、ピーター・ハグ氏はリポートで、「中国のインフレがやや加速したとのニュースで金価格は押し上げられた」と指摘。「アジアからの現物需要は続いている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比0.9%高の1オンス=1245.90ドルで終了した。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は小反発し、1年2カ月ぶり高値に達した。米景気への楽観で株価が上昇したことが背景にある。米原油在庫の減少予想も価格を支えた。
株式市場ではS&P500種株価指数が4日続伸し、5月以降で最長の連続高。ブルームバーグがまとめた調査では、エネルギー省が10日に発表する統計では原油在庫が4カ月ぶりの水準に減少したとみられている。エジプト暫定政府は議会選挙を7カ月以内に実施し、政権移行を押し進める方針を示した。スエズ運河では正常運航が続いている。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「株式市場が原油価格を少し押し上げている」と指摘。「在庫はまた減少したと見込まれている。投資家は統計前にショートのままにしておきたくないだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比39セント(0.38%)高の1バレル=103.53ドルで終了。終値としては2012年5月2日以来の高値。
更新日時: 2013/07/10 05:33 JST