また、楽天の三木谷浩史会長兼社長もかねて安倍首相とは昵懇(じっこん)だ。三木谷氏が旗揚げした新経済連盟は一般医薬品のネット販売解禁などで存在感を示した。アベノミクスの「3本目の矢」である成長戦略を議論する産業競争力会議には、長谷川、新浪、三木谷の各氏が起用される一方で、米倉会長には出番がなかった。政権の「経団連離れ」は露骨なほどだ。
安倍政権は10月に召集される見通しの臨時国会を「成長戦略国会」と位置づけており、関連法案の成立を急ぐ構えだ。
なかでも、柱となるのが景気に即効性のある設備投資のテコ入れ。昨年度に63兆円だった設備投資をリーマンショック前の年間70兆円レベルに3年で戻すことが当面の狙いだ。そのために投資減税などの支援メニューが検討されている。
リーマン・ショック以降の円高で日本の製造業の海外移転は決定的に進んだ。国内に投資をするという決断を経営者はなかなかしにくいのが現実だろう。
しかし、設備投資の増加による景気の底上げは政権としても譲れない課題だ。設備投資がらみであれば重厚長大産業が主要メンバーの経団連が矢面に立たされるのは間違いない。強すぎる自民党との距離感をつかむのは、なかなか難しいようだ。(「週刊東洋経済」副編集長 西村豪太)