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東電 吉田昌郎元所長が死去
東京電力福島第一原子力発電所で、事故対応の指揮をとった吉田昌郎元所長が9日午前、東京都内の病院で食道がんのため亡くなりました。
58歳でした。
吉田元所長は、3年前の6月に福島第一原子力発電所の所長に就任し、おととし3月11日の事故発生から、現場のトップとして事故対応の指揮をとりました。
おととし12月に食道がんと診断されて所長を退任し、治療を受けていましたが、去年7月に、脳出血の緊急手術を受け、療養生活を続けていました。
吉田元所長は、おととし11月に福島第一原発の事故現場が報道関係者に初めて公開された際にインタビューに応じ「事故直後の1週間は、死ぬだろうと思ったことが数度あった。1号機や3号機が水素爆発した時や、2号機に注水ができない時はおわりかなと思った」と当時の思いを語っていました。また、去年8月に長野県の出版社が福島市で開いたシンポジウムで公開されたインタビュー映像では、福島第一原発の今後について「日本だけでなく、世界の知見を集めてより安定化させることが一番求められていると思う。それが、地元の人たちにとって改善したと実感してもらえることだ。私自身も体力が戻ったら現場で力を出したい」と述べ、復帰への意欲をのぞかせていました。
東京電力によりますと、事故発生から退任までに吉田元所長が浴びた放射線量はおよそ70ミリシーベルトで、東京電力はこれまで「被ばくが原因で食道がんを発症するまでには少なくとも5年かかるので、事故による被ばくが影響した可能性は極めて低い」と説明しています。
吉田元所長は9日午前11時半すぎ、東京都内の病院で食道がんのため亡くなりました。
07月09日 17時08分