リニア新幹線は、最高時速約500キロで走るため、風切り音が大きく、騒音対策が不可欠だ。JR東海は、「新幹線の騒音の環境基準(住宅地で70デシベル以下)を満たそうとすれば、コンクリート製フードで覆うのが最も合理的」と説明する。
甲府市の宮島雅展市長も説明会で、「甲府盆地にかまぼこ型の土管をつくられては困る」と痛烈に批判し、改善を求めた。
「透明な樹脂製かガラス製のフードにしてはどうか」との意見も浮上している。これに対し、JR東海は「騒音防止効果に加え、土砂崩れ時の安全性やメンテナンスの問題もあり、難しい」と難色を示す。
計画中の4つの中間駅のうち3駅は、山梨、長野、岐阜3県に一つずつ設置される見通しで、地元の期待は大きい。
ところが、中間駅は「効率性・機能性を徹底追求したコンパクトな駅」がコンセプト。JR側が最低限必要な施設を整備し、商業施設などは地元が費用を負担して整備する。これまでの形にはとらわれない“新駅”をめざす。
その結果、駅の出入り口は1カ所で、エレベーターやエスカレーターでホームに直結する。トイレはあるが、待合室はない。専任の営業要員も置かないため、切符売り場もない。
これに対し、「駅に待合所はあるべきだ」(横内山梨県知事)など、沿線自治体の首長からは設置を求める声も相次ぐが、JR側に譲る気配はない。
JR東海の山田佳臣(よしおみ)社長は「これで十分だ。地元が必要だと思うものは、地元が用意すればいいことだ」と突っぱねる。
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