憲法と、
岐路に立つ憲法。その60年余を見つめ直します
【社会】政治学者に聞く 憲法への姿勢 見極めて参院選で日本の岐路となる憲法、原発、環太平洋連携協定(TPP)などについて、各地の政治学者十二人に「争点になりそうな」政策と「争点にすべき」政策を尋ねた。争点になる政策では十人が安倍晋三首相の経済政策を挙げ、争点にすべき政策のトップは憲法だった。 十二人には「争点になりそうな政策」「争点にすべき政策」を順位を付けて三つずつ挙げてもらった。一位に三点、二位に二点、三位に一点を与え、集計した。 争点になりそうな施策は「安倍首相の経済政策」が三十二点で、「憲法」や「消費税」を大きく引き離した。 金沢大の木村高宏准教授(公共政策論)は「国民に不況疲れがある中、“魔法の薬”のように(経済政策の)アベノミクスを掲げ、円安や株価上昇が進んだ。効くかどうかは分からないが、一筋の光明にすがりつきたい心理が国民にあるのでは」と分析する。ただ「どんな薬も副作用がある。目先の経済効果だけではなく、ほかの主張もしっかり見極めて投票すべきだ。後になって副作用に気付くのは不幸なこと」と付け加えた。 各種の世論調査でも経済政策への関心、期待は高い。朝日大の三田清教授(政治学)は「ある意味では安倍政権のアキレスけん。経済でつまずけば、党内から倒閣運動が起きかねない」と述べる。 争点にすべき政策になると「憲法」が「経済政策」を逆転した。改憲を発議できる要件を緩める「九六条改憲先行」を持論とする安倍首相は最近、柔軟な姿勢に転じた。 争点を曖昧にする戦略と映り、政治学者には評判が悪い。名古屋市立大の平田雅己准教授(国際関係論)は「参院選を乗り切るため、意見の分かれる憲法改正を前面に出さない。ただ選挙結果によって改憲議論が本格化する」と指摘する。慶応大の小林良彰教授(政治過程論)は「肝心の憲法改正がかすんでいる。参院選で吟味すべき課題は多いのに」と話す。 有権者はどう考え一票を投じるべきか。 滋賀県立大の大橋松行教授(政治社会学)は「生活に直結しない政治はない。身近な日常生活と結び付けて考えてほしい。自分の生活感覚から、こだわりある政策に優先順位を付け、合致するか近い政党、候補者に投じてほしい」と話す。 法政大の白鳥浩教授(政治学)は低投票率を危惧する。「野党が力不足で、アベノミクスの対案となる経済政策を打ち出せないから、盛り上がらない。もし50%にも達しない結果になったら、日本の民主主義にとってゆゆしき事態。今回は、日本の民度が問われている。その意味では、投票率が一番の争点かもしれない」と述べた。 PR情報
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