(cache) 老後の年金対策なら確定拠出型年金が最強な理由

老後の年金対策なら確定拠出型年金が最強な理由

公的年金に対する不安が高まるにつれ、私的年金で老後の資金を補完、または代替しようと考える人が増えてきています。アベノミクスでインフレ傾向が見えてきたことから、私も老後のために私的年金を活用しなければと内心焦っています。

そこでいろいろ調べてみたところ、積み立てるなら確定拠出年金が最強じゃないかと思ったのでその理由をまとめたいと思います。老後の資金計画を模索中の方の参考になれば幸いです。

確定拠出年金(日本版401k)とは?

本題に入る前に基本事項のおさらい。確定拠出年金とは、老後資金の運用を国や保険会社に任せるのではなく、自分自身で行なって資産を増やしていく方法です。アメリカの確定拠出年金制度・401kを参考に設計したことから、「日本版401k」と呼ばれています。

 

運用する金融商品(定期預金や投資信託など)を決め、毎月の拠出(掛金を支払うか)を決定し、その成果額を年金資金として貯めていきます。受取開始年齢は60歳~70歳の間。金融商品を自分で選ぶわけですから、この間に受け取れる金額は掛金が同じであっても人によって異なることになります。投資信託に偏った買い方をしないなど、運用の仕方でリスクの分散をはかるしかないでしょう。

先に確定拠出のデメリットを挙げておくと、第一にこの運用リスクが挙げられます。次に所定の年齢までは資金を引き出せない流動性の低さ。突然の入り用に確定拠出年金は無力です。

こうしたリスクを抱えていてもなお、私が確定拠出年金を推す理由は節税効果です。「拠出(掛金)」、「運用」、「支給」の3段階で得られる税制上のメリットがスゴすぎて、老後の資金づくりにおいては最高のパフォーマンスを発揮してくれると判断しました。

節税メリット(1)毎月の掛金が100%控除される

確定拠出年金で支払った掛金は全額所得控除になります。年金保険料として支払った金額×税率分がすべて戻ってくることになるわけですから、かなり大きな優遇だと思います。このメリットは個人年金保険と比べると分かりやすいでしょう。以下の比較表をご覧ください。

確定拠出年金 個人年金保険
所得控除額
(所得税)
全額 最大で4万円
所得控除額
(住民税)
全額 最大で2万8千円

たとえば課税所得金額が400万円の人の場合、所得税の税率は20%(参考:国税庁)です。個人年金保険で最大額の4万円が控除されたとして、所得税の軽減額は以下の計算式で8000円になります。


(400万円-4万円) × 0.2 - 42万7500円 = 36万4500円


住民税の最大控除額は2万8000円です。同様の計算で年間軽減額は2800円になるので、合計で1万800円が個人年金保険で得られる節税額となります。 この点、確定拠出年金は掛金の全てが控除されるわけですから、たとえば月額1万円の掛金なら


(400万円-12万円) × 0.2 - 42万7500円 = 34万8500円


住民税軽減分の2800円を合わせると差額は2万6800円。掛金が月額2万円なら4万2800円の計算になり、つまり掛金が多いほど節税効果を発揮することが分かります。実は確定拠出年金には「管理手数料」がかかるため、実際には上記金額から4000~5000円を引いた額が節税額となりますが、それでも個人年金保険よりも高い利回りを得られます。

なお、掛金の上限は加入する確定拠出年金のタイプにより異なり、自営業の私なら最大で6万8000円、会社員の人なら最小で2万3000円になります。会社員でも3種類の区分があり、それぞれの区分で限度額が設定されています。自分がどのタイプに属するかは以下の表を参考にしてください。

図

節税メリット(2)運用時の課税もゼロ

金融商品の運用で得た利息や収益分配金、売却益によって発生した収益には20%課税されるのが決まりになっていますが、確定拠出年金にはこれがありません。運用で得た利益は課税ゼロですべて手元に残ります。

一例として、毎月1万円の掛金を年利3%で30年間運用できたときの節税効果を計算してみると、

・確定拠出年金 → 570万9050円
・通常の投資信託など → 518万5180円

20%の課税が如実に表れますね。上記は一例ではありますが、こうした差額は必ず生じることになります。

節税メリット(3)受取時も控除が受けられる

運用時は非課税な確定拠出年金も、受取時には税金がかかってしまいます。しかしこの際にも節税優遇があるのです。具体的には、一時金として受け取ると「退職所得控除」、年金として受け取ると「公的年金控除」が受け取れます。

どちらで受け取るのがお得か?ということですが、これは運用資産の額や収入により異なります。ただ、一時金として受け取ると退職金扱いされるため、税制上の負担が軽くなる傾向があります。退職所得控除の計算方法を見てみましょう。

勤続(加入)期間(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20年)

参考:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) 

仮に加入期間が30年の場合でシミュレーションすると、


800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円


になりますね。退職所得して課税されるのは、「(退職金-退職所得控除)÷2」ですから、 運用資産が1500万円までなら税金がかからないことになります。

まとめ

整理する意味でも、私が思う確定拠出年金のメリットをデメリットも合わせてまとめてみました。今回メインで取り上げた3つのメリット以外の特徴もあるので参考にしてください。

メリット デメリット
  • 税制上の優遇
  • 転職しても資産の持ち運びが可能
  • 積立金残高の把握が容易
  • 運用次第で老後資産がアップ
  • インフレに強い
  • 会社の業績と関係なく資産を増やせる(企業型)
  • 運用リスク
  • 支給開始年齢まで現金化できない(流動性が低い)
  • 加入手数料・事務手数料がかかる(無料のところもある)

運用リスクについては、不安がないといえば嘘になります。素人でも上手くいくのか分かりませんが、良い意味でも悪い意味でも自己責任が叫ばれる昨今、路頭に迷わないためにも前向きにチャレンジしてみようと思っています。

ページのトップへ戻る