7月8日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル指数3年ぶり高水準から低下、リスク選好の強まりで
ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落した。ドル指数 は3年ぶり高値から低下した。前週の上昇が行き過ぎ、ピッチも速過ぎたとの見方からドル売りが優勢になった。
リスク選好が強まり、欧米で株価が上昇したため、ユーロは対ドルで3営業日ぶりに上昇した。ドルは主要通貨の大半に対して下落。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日に経済政策について講演する。同日にFRBは6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する。
野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は「前週末以降の強いドルのトレンドの反転だ。資産購入の縮小を織り込む上で相場は行き過ぎた可能性がある」と指摘した。
ニューヨーク時間午後3時26分現在、ドル指数は前営業日比0.4%安の84.157。一時は84.588と2010年7月6日以来の高水準をつける場面もあった。
ユーロは対ドルで0.4%高の1ユーロ=1.2879ドル。対円ではほぼ変わらずの1ユーロ=129円98銭。ドルは対円で0.3%安の1ドル=100円93銭。一時は101円53銭と5月30日以来の高値水準に上げた。
◎米国株:上昇、S&P500種は3日続伸-決算シーズン開幕に注目
米国株 は上昇。S&P500種株価指数は3営業日連続でプラス。引け後に予定されている米アルミ最大手、アルコアの決算発表で、4-6月期決算発表シーズンが開幕する。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前営業日比8.57ポイント(0.5%)上昇の1640.46。ダウ工業株30種平均は88.85ドル(0.6%)高の15224.69ドル。アルコアは1.3%高で通常取引を終えた。
ベル・エアー・インベストメント・アドバイザーズで70億ドル相当の資産運用に携わるゲーリー・フラム氏は「決算シーズンは4-6月期の実績よりも、市場が予想している年末にかけての業績改善が話題になるだろう」と指摘。「金融当局からの支援が減らされても景気は十分に持ちこたえられるとの楽観を市場は強めつつある。市場は少しずつ正常化しているようだ。米金融当局とその行動が市場の動きを左右していた異常な環境ではなくなってきた」と述べた。
S&P500種は先週、1.6%の値上がり。米金融当局による緩和縮小に対する不安が重しとなったものの、予想より良好な経済統計が株価を支えた。
◎米国債:上昇、利回り上昇で投資妙味高まる-10年債2.64%
8日の米国債は3営業日ぶりに上昇。先週の利回り上昇は行き過ぎとの見方が広がった。
5日には利回りが2011年8月以来の大幅上昇を記録した。米雇用統計で雇用増が示され、米金融当局が年内に資産購入のペースを減速するとの見方につながった。ゴールドマン・サックス・グループは10年債利回りが2016年までに4%に達すると予測している。財務省は今週660億ドル相当の入札を実施する。
バークレイズのグローバル・インフレ連動調査責任者、マイケル・ポンド氏は「投資家は利回りの上昇を買いの好機ととらえている」と述べ、「今週にかけての売りは行き過ぎだった。統計内容は明るいが、経済の現況を考えると投資家は急いで動きすぎたのかもしれない」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時10分現在、10年債利回りは前営業日比10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.64%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は26/32上昇の92 11/32。
◎NY金:反発、最近の価格下落受け現物買いが強まるとの観測
ニューヨーク金先物相場は反発。1週間ぶりの大幅高となった。今年に入って大きく下げていることを背景に現物買いが強まるとの観測が高まった。
金は第2四半期(4-6月)に23%下落。6月28日にはオンス当り一時1179.40ドルと、2010年8月2日以来の安値をつけた。ブラックロック・ワールド・マイニング・トラストのポートフォリオマネジャー、キャサリン・ロウ氏はインドでは祭日を控え宝飾品の需要が上向く見通しだと電子メールで8日指摘した。ドルは主要6通貨のバスケットに対して一時0.3%下げた。
T&Kフューチャーズ・アンド・オプションズ(フロリダ州ポートセントルーシー)のマイケル・スミス社長は電話インタビューで、「1200ドルを割り込んで以降、現物買いが入っている」と指摘。「ドルの軟調も金価格の支えになっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前週末比1.8%高の1オンス=1234.90ドルで終了。中心限月としては1日以来の大幅上昇となった。
原題:Gold Gains Most in a Week as Prices Drop Spurs PhysicalDemand(抜粋)
◎NY原油:反落、スエズ運河の「正常」運航で供給不安が後退
ニューヨーク原油先物相場は反落。エジプトで騒乱状態が広がっているものの、スエズ運河の「安全性」は確保され、「正常」運航を維持しているとの当局発表が影響した。原油先物は先週末に1年2カ月ぶりの高値に上昇していた。
スエズ運河管理局の報道官、タレク・ハッサネイン氏は同運河を55隻が通過する予定だと述べた。これより先、エジプトでは強制退陣されたモルシ大統領の支持者グループと治安部隊が衝突し、少なくとも50人が死亡。これを受けて原油価格は104ドル台に乗せていた。中東産原油を欧州に輸送する要所であるスエズ運河とスエズ地中海パイプラインはエジプトが運営している。
みずほセキュリティーズUSA(ニューヨーク)の先物部門ディレクター、ボブ・ヨーガー氏は「エジプトの政情不安はスエズ運河の運航に影響していない」と指摘。「運航に支障がないとのことで安堵が広がっている。いつ手を付けられないような状況に悪化し、原油供給が途絶する危険が生じるか分からないので、価格は大きくは下げないだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前週末比8セント(0.08%)安の1バレル=103.14ドルで終了。一時は104.12ドルまで上昇し、2012年5月3日以来の高値を付けていた。
原題:WTI Crude Falls From 14-Month High Amid ‘Normal’ SuezTraffic(抜粋)
◎欧州株:2週間ぶり大幅安から反発、景気見通しとポルトガル情勢で
8日の欧州株式 相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は前週末の約2週間ぶり大幅安から反発した。経済データが改善を示すとの観測に加え、ポルトガルの連立政権維持に向けた合意が手掛かり。
スイスの医薬品メーカー、ノバルティスは1.3%上昇。乾癬(かんせん)治療薬の臨床研究で全ての目標を満たしたことが買い材料。英銀ロイズ・バンキング・グループは3.8%高。英スタンダードチャータードの元会長が投資家グループを組織し、ロイズ株の一部取得を提案する可能性があると、事情に詳しい関係者1人が明らかにした。
ストックス欧州600指数 は前週末比1.4%高の292.37で終了。欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)が4日ともに、政策金利は長期にわたり低水準にとどまると示唆したことから、同指数は先週1.2%上げた。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が米景気に持続的な改善が見られれば金融緩和の縮小は可能だと示唆した5月22日以降では、5.9%下落している。
ミラボー・セキュリティーズ(ジュネーブ)のバイスプレジデント、ジョン・プラサード氏は先週末発表の「予想を上回る米雇用者数がようやく朗報と判断されたようで、米株式相場は上昇。これを受けて、世界は投資家にとって再び明るくなった」とし、「実体経済が相場に一段と反映される段階に達した」と記した。
ポルトガルのコエリョ首相は6日夜、連立パートナーである民衆党のポルタス党首を副首相に起用することを明らかにした。連立政権維持と早期選挙を回避するための合意の一環。
8日の西欧市場では18カ国全てで主要株価指数が上昇。フランスのCAC40指数は1.9%、ドイツのDAX指数は2.1%それぞれ上げた。ポルトガルのPSI20指数は2.3%高となった。
原題:European Stocks Climb on SpeculationEconomic Data Will Improve(抜粋)
◎欧州債:軒並み上昇、ECB追加緩和期待で-英国債ほぼ変わらず
8日の欧州債相場は上昇した。ドイツの輸出と鉱工業生産が減少したことを背景に、欧州中央銀行(ECB)が金利上昇を抑制するために追加的な緩和策を講じるとの見方が強まった。
ドイツとフランスの国債はここ6営業日で5日目の上げ相場となった。長期にわたり政策金利は現行あるいはそれを下回る水準にとどまると、ECBのドラギ総裁があらためて表明したことが手掛かり。イタリアとギリシャ、ポルトガルの国債も買われた。ドイツがこの日実施した6カ月物証券入札で、落札利回りは4月以来で初のマイナスとなった。
KBCバンクの債券ストラテジスト、マティアス・ファンデルユフト氏は「こうした市場にとってECBは極めて力強い支援要因だ」とし、「スペインとイタリアなどの国債相場にとっても、中核国の国債が堅調となるのは基本的にプラスだ」と語った。
ロンドン時間午後4時28分現在、フランス10年債 利回りは前週末比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.26%。先月24日には2.53%と、昨年7月5日以来の高水準となっていた。同国債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格はこの日、0.35上げ95.56。
ドイツ10年債利回りは2bp下げ1.70%、同年限のベルギー国債利回りは4bp下げ2.57%となった。
ドラギ総裁は欧州議会で証言し、ECBが4日表明した緩和的な金融政策を維持するとの見通しは、「実体経済の幅広い弱さおよび勢いのないマネー動向の下、総じて弱いインフレが中期的に続くとの想定に基づいている」と説明した。
独経済技術省が8日発表した5月の鉱工業生産指数は前月比1%低下と、1月以来初のマイナスとなった。独連邦統計庁が発表した5月の輸出額 は前月比2.4%減少。エコノミストの予想中央値では0.1%増が見込まれていた。
英国債相場は前週末からほぼ変わらず。指標の10年債利回りは2.48%。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は94.03となった。
原題:European Bonds Advance on Speculation ECBWill Increase Stimulus (抜粋)Pound Rises From Near 4-Month Low Versus Dollaron Data Optimism
更新日時: 2013/07/09 05:59 JST