■急低下する収益性
韓国金融市場が注目を失う主な理由は、金融市場の整備が諸外国より遅れており、収益性が低いためだ。韓国の銀行業界は、担保融資で利息を受け取る安易な商売に依存しており、低金利環境では収益性が急激に低下する。金融当局は世界的な金融危機以降、庶民向け融資の拡大、融資手数料の引き下げなど銀行の社会的責任を強調し、収益性低下を招いた。金融危機以前の07年には、銀行全体の純利益が15兆ウォン(約1兆3200億円)あったが、昨年は約半分の8兆7000億ウォン(約7600億円)にとどまった。
韓国の銀行の低収益は、外資系銀行と比較すれば明らかだ。昨年の韓国の銀行による株主資本利益率(ROE)は平均6.41%で、中国の国営4大商業銀行(工商銀、建設銀、農業銀、中国銀)の平均21%の3分の1にも満たない。収益低下に苦しんでいるとされる米大手銀行4行(ウェルズ・ファーゴ、BOA、シティ、JPモルガン・チェース)のROEは7.3%で韓国よりは高い。
朱宰聖(チュ・ジェソン)元金融監督院副院長は「世界的な金融機関が組織のスリム化に乗り出し、収益性の低い国の拠点を閉鎖しているため、韓国が真っ先にターゲットになっている」と指摘した。
収益性の低下は、韓国の金融機関の責任も大きい。狭い国内市場に安住し、海外進出など収益源の多角化を進めなかったからだ。韓国の金融機関は1960年代から海外進出に取り組んだが、海外部門の資産規模や収益能力は世界的な金融機関に比べ見劣りする。
金融監督院によると、昨年の総資産に占める海外店舗資産の割合は、銀行は3.9%、証券は0.7%、生命保険は0.1%だった。一方、世界的な金融機関であるBNPパリバやHSBCの場合、海外資産の割合は48%に達する。また、韓国の銀行の利益全体に占める海外店舗の割合も7.1%にすぎず、HSBC(83%)の10分の1にも及ばない。
韓国金融研究院の徐炳浩(ソ・ビョンホ)研究委員は「韓国の金融産業は事業構造が単純で、各社間で差別化されておらず、景気変動などの一時的な要因で収益が揺らぐ。海外から見れば予測不可能でリスクが高い」と指摘した。
全国銀行連合会の朴炳元(パク・ピョンウォン)会長は「金融産業が競争力を失えば、結局は実体経済を下支えするという金融本来の機能も低下せざるを得ない。金融産業を育成するための政府レベルの対策が求められる」と述べた。