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原発の規制―木だけでなく森も見よ

原発に対する新しい規制基準が施行された。従来の「安全基準」に比べれば、設備面ではかなり厳しくなった。だが、狭い地域に複数の原発が集まる「集中立地」のリスクなど、積み残し[記事全文]

入試改革―大学の覚悟が問われる

一発勝負で1点の差を競うような大学入試を改めたい。一方で、学力の「底抜け」も食い止めなくてはならない――。政府の教育再生実行会議で、入試改革が議論されている。[記事全文]

原発の規制―木だけでなく森も見よ

 原発に対する新しい規制基準が施行された。従来の「安全基準」に比べれば、設備面ではかなり厳しくなった。

 だが、狭い地域に複数の原発が集まる「集中立地」のリスクなど、積み残しになっている重要課題がある。

 原子力規制委員会は、個々の原子炉という「木」の審査にとどまらず、福島事故の反省が生かされるよう、大局的な観点から厳しくチェックしなければならない。基準や審査を常に見直し、進化させることが必要だ。

 新基準での審査は、まず4電力会社が5原発の10基について申請した。

 実務を担う原子力規制庁は、経済産業省の下を離れ、規制当局として独立したことの真価が問われる。

 電力会社との緊張関係を維持し、対策の速やかな実施を求めてほしい。電力会社に取り込まれないためには、現在80人の審査態勢を質、量ともに充実させることが急務だろう。

 新基準では、放射性物質が大量に飛散する過酷事故を想定することになった。適合しても、「安全宣言」ではない。

 2年前の3月。福島第一原発に並ぶ6基、さらに10キロあまりしか離れていない福島第二原発の4基を含め、連鎖的に制御不能になりはしないかと、多くの国民が青ざめた。

 複数の炉で事故が起きる場合だけでなく、1基が大量の放射性物質をまき散らすだけでも周囲の原発に運転員や作業者が近づけなくなる。

 こうした集中立地、複数稼働が抱えるリスクは、規制委でまともに議論されてこなかった。

 きのうは北海道電力が泊の3基、九州電力が川内(せんだい)の2基、関西電力は高浜と大飯の各2基を同時申請した。高浜と大飯は15キロほどしか離れていない。

 狭い地域で複数の原発を稼働させるリスクをどう考えるか。規制委は検討を急ぎ、見解を示す義務がある。

 問題は避難計画に直結する。自治体は事故に備えた現実的な計画をつくる必要があり、規制委の指導が肝心だ。

 事故後、複数の事故調査委員会が様々な教訓を引き出した。だが、緊急時に設定する作業者の被曝(ひばく)限度や、国としての支援態勢・情報公開のあり方など具体的な検討が進んでいないものも少なくない。

 安倍政権は規制委任せにしてはならない。自民党の原発推進策の末に起きた事故である。その反省を早く具体的な政策として示すべきだ。それなしの再稼働は無責任というほかない。

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入試改革―大学の覚悟が問われる

 一発勝負で1点の差を競うような大学入試を改めたい。一方で、学力の「底抜け」も食い止めなくてはならない――。

 政府の教育再生実行会議で、入試改革が議論されている。

 核になるのは、達成度テストの創設だ。基礎学力をみる試験を年に何回かおこない、一番いい成績を志望校に提出してもらう。役割の重なるセンター試験は廃止もふくめて見直す。

 そのうえで、2次試験を含めた入試全体を、ペーパーテストの学力だけでなく、意欲や主体性も多面的に評価するしくみに改めたいという。

 実現するかどうかは、入試の考え方を根本から変える覚悟が大学と社会にあるかどうかにかかっている。

 「大学入試に過度にエネルギーを集中せざるを得ないのが問題点」。安倍首相が指摘したように、共通一次以来30年の「つめこみ勉強」を強いる入試は時代に合わなくなっている。

 右肩上がりの時代から先行きの不透明な時代になり、指示通りにこなせる人から自分で考えて動ける人へ、人材のニーズが移った。細かな知識より、思考力と主体性が求められている。

 一方、大学の定員と志願者数がつりあう全入時代を迎え、テストを課さず推薦などで学生を確保する大学や、定員割れして入試がハードルとして機能しない大学が増えた。それで基礎学力のない学生が増えた。だから基礎学力を確かめるテストが要る、という声が高まっている。

 二つのニーズを考えると、「1次試験の負担を軽くしたうえで推薦などの受験生にも受けてもらう」という改革の基本的な考え方はうなずける。

 課題は多い。複数回受けられれば実力は出しやすいが、受験勉強が早まる心配もある。どの大学にも使いやすいようにレベルを何段階かにわける案もあるが、大学に公然とランクをつけることになりかねない。制度設計には工夫が要る。

 少なくとも特別な受験勉強をしなくてすむよう、基本的な科目と内容に絞るべきだろう。

 そして、1次試験よりむしろ各大学の2次試験の改革が大切になる。思考力や主体性をみるには論文を書かせたり、高校でどんな勉強や活動をしたか面接で聴いたりと、手間がかかる。でも、もしそれができれば予備校化した高校もきっと変わる。

 大学入試は企業の採用のあり方とも無関係ではない。どの大学に入ったかより、入ってから何を学んだかを問われる社会にしないと、創造性のある人材は育たない。

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