G8サミット:アベノミクス評価も財政健全化求める
毎日新聞 2013年06月18日 10時29分(最終更新 06月18日 14時49分)
◇経済宣言一部前倒しで発表
【ベルファスト坂井隆之】英国・北アイルランドのロックアーンで開幕した主要8カ国首脳会議(G8サミット)は17日夜(日本時間18日朝)、初日の討議を終え、経済に関する首脳宣言の一部を前倒しで発表した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」については、「日本の成長は短期の財政刺激策、大胆な金融政策、民間投資を喚起する成長戦略に支えられる」と取り組みを評価する一方、財政再建計画の策定も求め、財政健全化に道筋をつけるようクギを刺した。
宣言は世界経済について、日米欧などの取り組みで悪化するリスクは減少しているが、「見通しは引き続き弱いまま」と指摘。欧州債務危機の収束で、金融市場などが最悪の事態におちいる可能性は回避したものの、持続可能な成長と雇用回復のため、各国が必要な改革を推し進める必要があるとした。
このため、先進各国に対し、信頼できる財政計画の実施とともに、国内の需要下支えと構造改革の実行を要求。「財政政策は、経済状況に応じて短期的には機動的となることを可能とすべきだ」とも言及し、必要に応じて短期の景気刺激策も取り入れるよう求めた。
一方、日米欧が進める金融緩和策を巡っては「金融政策は回復を支え、国内の物価安定に向けられるべきだ」と指摘。通貨安競争回避のため、自国通貨の価値を引き下げることを金融政策の目標としないとした5月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の合意事項を踏襲した。
安倍晋三首相は17日の世界経済に関する討議後、記者団に対し「デフレ脱却には相当思い切った政策が必要だと説明した。日本の経済政策は評価された」と成果を強調した。サミットは18日にテロ対策や多国籍企業による税金逃れへの対応を協議し、国際情勢も含む最終的な宣言を採択して閉幕する。