リニアコライダー:技術設計が完了 立地選定へ

毎日新聞 2013年06月12日 20時21分

 宇宙誕生の謎に迫る超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の実現に向け、日米欧などの科学者らが約8年かけて進めてきた技術設計が完了し12日、東京都文京区の東京大で記念式典が開かれた。技術的な検証を終え、いよいよ立地選定の段階に移行する。

 ILCは、欧州合同原子核研究所(CERN)の加速器LHCの次世代を担う国際プロジェクト。東京−横浜間にあたる全長約30キロの地下トンネル内に直線状の加速器を設け、電子と陽電子を衝突させて宇宙を覆う暗黒物質の正体などに迫る。建設費は8300億円以上とされる。

 施設一帯は、家族を含む数千人規模の国際研究都市になると期待され、岩手県が北上山地に、佐賀、福岡両県が脊振(せふり)山地に誘致活動を展開。産業界も積極的で、日本生産性本部が11日発表した試算によると、日本に誘致した場合、国内産業界に及ぼすイノベーション効果は建設10年、運用20年の計30年間で約45兆円に上るという。装置製造などの直接効果と、がん治療や品種改良など加速器の活用効果の合計で、これに地域活性化の効果が加わる見込み。研究者らで作る立地評価会議が7月末をめどに国内候補地を一本化する。

 一方、巨額の建設費を前に各国政府の動きは鈍く、米国では国家プロジェクトから外され、この分野の予算が縮減。欧州もLHCの運用中で、各国は「日本が手を挙げてくれれば参加したい」と模様眺めの状況だ。日本政府も方針は未定。日本学術会議が14日に検討委員会を発足させ、学問的な意義や使い道を改めて審議する。

 研究者の世界では今後、国際組織「リニアコライダー・コラボレーション」が立地策の検討に入る。責任者を務める英国のリン・エバンス氏は12日の式典で「CERNのように世界中から人が集まるようになるだろう。科学技術に関心を持つ若者を増やし、人々の科学への関心を高める」と期待を述べた。【斎藤有香】

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