東日本大震災:給食の安全性/下 福島の親、不安口にできず
毎日新聞 2011年10月07日 東京朝刊
小6と小4の子を持つ二本松市の母親(36)は心配なことがあるという。「学校で牛乳を飲まない子が『非県民』とからかわれたと聞く。放射能への自衛策を非難する雰囲気があるのなら、残念だ」。大人の混乱が子供たちにも伝わっている。
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どこまで調べ、どう保護者に伝えるのか。自治体や学校で対応は異なり、親は翻弄(ほんろう)されるばかりだ。
郡山市のある小学校では、校内放送で毎日、野菜の産地が公表される。「不検出の野菜しか使わない、と校長が丁寧に説明してくれて安心している」とある母親(42)。一方、須賀川市の母親(43)は「学校は『安心してください』としか言わない。弁当は子供が嫌がるのであきらめた」とうんざりした様子だ。
「子供の安全に関わることが、自治体の知恵比べでいいのだろうか」。ある市教委の担当者は漏らした。文部科学省学校健康教育課は「弁当を持参するかどうかは自由。産地などの情報提供は適切に行うよう各教委に伝えている」と話すが、最終的には現場の判断に委ねられているのが実情だ。【鈴木敦子】