名古屋−清水 後半、決勝ゴールを決め喜ぶ名古屋・小川=豊田スタジアムで(佐伯友章撮影)
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約1カ月ぶりに再開したリーグ戦で、名古屋グランパスが連敗を5で止めた。MF小川佳純(28)が2ゴールの殊勲。終了間際の決勝点で清水を2−1で破り8戦ぶりに勝った。首位大宮は鳥栖に追い付かれて1−1のドロー。甲府を下した2位浦和との勝ち点差は3に縮まった。横浜Mは最下位の大分と引き分けたが、3位を守った。広島はFC東京を下し4位に浮上。J2降格圏からの脱出を目指す磐田は、関塚新監督の初采配でC大阪と引き分けた。
執念が決勝ゴールを呼んだ。タイムアップが迫る後半44分、左からの阿部のクロスにケネディが飛び込んだ。シュートがGKに弾かれると、詰めていた闘莉王が右足で狙う。再びDFに当たってこぼれたボールに走り込んだのが3人目の小川だった。
「同点では終わりたくなかった。中断明けからいくぞという姿勢を見せたかった」。蓄積したモヤモヤを左足に込め、弾丸ボレーでネットを揺らした。ストイコビッチ監督は躍り上がってガッツポーズ。7試合勝ち星から見放されていたグランパスが、土壇場で勝ち点3をもぎ取った。
小川自身も復活を懸けていた。5月22日のナビスコカップ新潟戦で右足を打撲。3日後のJリーグC大阪戦に強行出場しようと練習で無理をした結果、内出血した血の塊が破裂した。「自分では試合ができると思ったけど、本当は3、4日安静にしなければならなかったようです」と語る。
血は太もも全体に広がり、緊急手術を受けた。6月の飛騨キャンプ中は一人リハビリをしいられた。「痛みがなくなったのは今週の練習から」。突貫工事で清水戦に間に合わせていた。
前半9分の先制ゴールも小川が決めた。スルーパスに絶妙のタイミングで走り込み、落ち着いて流し込んだ。手術明けでいきなり2ゴールの離れ業。得点数はチーム最多の5に伸ばした。「これ以上望めない結果」と笑い声がはじけた。
試合後はサポーターの鳴りやまぬ拍手を一身に浴びた。「きょうの勝利でやっと前を向ける。チームはいい方向に向かっている」と小川。背番号10のゴール連発でグランパスがトンネルを脱出。上々の再スタートを切った。 (木村尚公)
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