キャバクラを開業するには
1.必要な許可
キャバクラを開業するには、飲食店営業の許可と、風俗営業の許可を取得する必要があります。
- (1) 飲食店営業許可申請
- まず、知事に対して飲食店営業許可の申請をします。申請の窓口は保健所の生活環境課(生活衛生課)です。申請の時に、食品衛生責任者講習の申込みをします。この講習は、更新の人たちも受講するため非常に混雑しております。受講までに2ヶ月以上かかることも珍しくありません。ということは、講習を受ける時期がお店のオープン後になるかも知れませんが、それで構いません。
また、申請時に、飲食店営業許可の基準を満たしているか否かを申請書類で確認し、特に問題がなければ、その場で検査日を決定します。
検査では、担当者がそれぞれの基準ごとに加点または減点し、その点数によって許可の年数が変動します(5~8年)。一般的に、衛生的で、火災の危険性が低いほど、高得点となります。
飲食店営業許可の申請は、あまり難しくないため、ご自分で申請される方も多いです。 - (2) 風俗営業許可申請
- 飲食店営業許可を受けたら、次に公安委員会に対して風俗営業許可の申請をします。風俗営業許可申請の窓口は警察署の生活安全課です。
最近、飲食店等が風営法違反で摘発され、営業停止等の処分を受けるケースが全国的に多く見受けられます(平成20年の風営法違反の検挙件数は3,249件)。
これは、キャバクラやホストクラブで18歳未満の者に接待させていたり、無許可で営業していたりすることによるものが大半です。最大の原因は「法の不知」ですが、たとえば、賃貸借契約を結んでしまった後、その場所では風俗営業許可を受けられないことが判明し、そのまま無許可で営業している、というケースもあります。
風俗営業許可の申請は、非常に難易度が高く、審査も厳しいため、風営法を専門とする当事務所へご依頼ください。
2.無許可で営業した場合
(1) 「飲食店営業」の許可を受けずに営業した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらが併科されます(食品衛生法72条)。この場合、その刑の執行を終えてから2年経過するまで飲食店営業の許可が受けられなくなります(食品衛生法52条2項但書)。
(2) 「風俗営業」の許可を受けずに営業した場合も、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらが併科されます(風営適正化法49条)。この場合は、その刑の執行を終えてから5年経過するまで風俗営業の許可が受けられなくなります(風営適正化法4条1項)。
(3) 「飲食店営業」と「風俗営業」との両方とも無許可の状態で営業した場合には、3年以下の懲役もしくは400万円以下の罰金またはこれらが併科されます(刑法47条、48条2項)。
3.なぜ行政書士に依頼する必要があるのか
上記のように、キャバクラをはじめるためには風俗営業の許可を受ける必要がありますが、この手続は、行政書士に頼まずにご自身でやって頂いても構いません。
裁判の手続を弁護士に頼まず自分でやっても構いませんし、税金の手続を税理士に頼まず自分でやっても構いませんが、これと同じことです。実際に風俗営業許可申請においても、約1割の方は行政書士に頼まずにご自身で申請されています。
弁護士、弁理士、司法書士、税理士、行政書士などの職業を「士業」といいますが、士業というのは要するに、本人に不足している知識や時間を補うために本人に代わって面倒な手続きを進める専門家です。
キャバクラの開業手続には、風営適正化法およびこれに関する施行令、施行規則、内閣府令、解釈運用基準、都道府県条例等についての専門的な知識が必要なのはもちろんのこと、店舗が場所的基準を満たしているかどうかの調査や、各種図面類(平面図、照明配置図、防音設備図、音響設備図、求積図、求積計算表)の作成など、かなり面倒で難易度の高い作業が要求されます。
これらを自分でやろうとすると、せっかく早く商売を成功させて自由を獲得しようと思っていたのに、警察署へ何度も足を運んで申請書を作り直したり図面を差し替えたりしているうちに訳が分からなくなって、全然オープンできないまま無駄に時間を空費し、家賃だけが出ていく羽目になります。
また、風俗営業許可の場合、現地調査で実際の寸法と図面とが数センチ違っているだけで再検査になります。現地調査は風俗浄化協会の実査担当者が行いますが、どの都道府県でも実査担当者は1人~2人で県の全域を周っているため、再検査になるたびに許可が数週間ずつ遅れていきます。
お店を成功させるためには、メニューの品揃えや価格、仕入先との交渉、人材の確保や教育、マーケティングなど、色々なことを同時に考え、実行していく必要があります。
また、成功者といわれる人ほど、専門家をうまく利用して時間や知識にレバレッジをかけているものです。
許可申請等の手続を専門家に任せてしまえば、本業を成功させるために必要な時間と精神的余裕が手に入ると同時に、早くオープンできるので、結果的に利益が増大します。