特集ワイド:続報真相 「あまちゃん」快走のわけ じぇじぇ!…社会現象「アマノミクス」!?
毎日新聞 2013年07月05日 東京夕刊
◇コラムニスト対談
♪タラッタッタ……軽快なメロディーとともに始まるNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の快走が止まらない。視聴率は安定的に20%を超え、茶の間はドラマの行方にくぎ付けだ。何が日本人の心をつかんだのか。ともに大ファンを公言するコラムニストの亀和田武さん(64)と中森明夫さん(53)に魅力や今後の見どころを語ってもらった。【まとめ・江畑佳明、対談者の写真・矢頭智剛】
◇悲壮感のない笑いが共感呼ぶ−−亀和田武さん
◇経済第一に代わる価値観提示−−中森明夫さん
−−今朝もご覧になりましたか。
亀和田 もちろん。もう生活の一部です。録画して1日2回は見ていますよ。実はそれほどドラマ好きじゃないんだけど「あまちゃん」は特別。仕事抜きに、気に入った場面を確認したくなる。会話のテンポが良くて明るくて。あのオープニング曲を聞くと朝から元気が出ますね。
中森 夜型から朝型になりました。朝ドラをこんなに毎朝見るのは初めて。脚本の密度がすごく濃いのがいい。主役の天野アキ(能年玲奈(のうねんれな))が思いを寄せる先輩が上京して台場に住むのですが、先輩が得意な「南部潜り」と「ダイバー」とをかけてたんだな、と気付いたり。
亀和田 視聴率が高いだけのドラマなら時々あります。2011年の「家政婦のミタ」は視聴率が40%に達しました。ただ、あれは主人公の特異なキャラクターやドラマ展開が刺激的で高視聴率につながったのであって「あまちゃん」みたいに細部までああだこうだと、こういう対談ができるほど楽しめる複雑な要素はないんだよね。
中森 あまちゃん現象は「アマノミクス」と呼ばれています。舞台となった岩手県久慈市では観光客が増えすぎて交通規制したり、全国の海女さんが注目されたり。もう大変な社会現象ですよ。
−−主役を務める能年玲奈はいかがでしょう。
亀和田 ここまで数年キャリアがあるけど、新人みたいに新鮮ですれていない感じがする。黒目が本当にきれい。
中森 アニメキャラクターみたい。一度会ったのですが全然、芸能人っぽくない。わりと口下手で人見知りもする。アキそのものではないけどイコールの部分はあります。
亀和田 オーディション合格は偶然かと思ったら、とんでもなく演技がいい。