米国:アシアナ機事故 「後部キッチン消えた」 死亡の2人、衝撃で外へ
毎日新聞 2013年07月08日 東京朝刊
サンフランシスコ国際空港は事故直後から6日夕方まで閉鎖された。ロビーのベンチには、翌日の便を待つ乗客が仮眠を取る姿もみられた。ソウル在住の日本人会社員、羽野春香さん(23)は、同空港で離陸を待つ機内の窓から事故を目撃した。「数百メートル先に着陸した飛行機の後ろから突然、煙が出て大きな火災になった。こっちの飛行機に燃え移るのではないかと生きた心地がしなかった」と瞬間を振り返る。
けが人56人が運ばれたサンフランシスコ総合病院では、重体5人、重傷5人が入院。関係者によると、軽傷の人は、手当てを受けた後、入管手続きのため空港に戻ったという。病院の広報担当者は「負傷者56人のうち子供は26人」と語った。
◇B777、初の死亡事故
ボーイング777(B777)は米ボーイング社が開発した双発ジェット機で、1995年に就航した。死者が出た事故は今回が初めてで、最も安全な飛行機の一つと言われてきたが、2008年には英国で今回と同様、着陸に失敗した事故が起きている。
AP通信などによると、英国の事故は08年1月、ロンドン・ヒースロー空港で発生。北京発のブリティッシュ・エアウェイズ便が空港の約3キロ手前でエンジン2基の出力を失った。機体は滑走路手前の芝生に着陸。主翼が壊れ負傷者も出たが、死者はなかった。エンジンはその後、同様の事故を防ぐため改修された。今回の事故は機体後部が滑走路に接触したとみられる。B777は国内では10年5月、大阪空港で日本航空(JAL)便、12年3月にも羽田空港に着陸したJAL便で同様のトラブルがあった。負傷者や機体の大きな損傷はなかった。
B777は操縦システムがコンピューター化されているのが特徴で、エンジン出力を向上させた型式では、最大500人以上が搭乗可能。重量が軽く燃費もいいため、大陸間の移動に用いられることが多い。【金子淳】