<大川小>震災前、津波訓練せず 検証委が中間まとめ
毎日新聞 7月7日(日)22時6分配信
東日本大震災の津波で宮城県石巻市立大川小学校の児童・教職員84人が死亡・行方不明になった問題で、避難行動などを検証する第三者機関「大川小学校事故検証委員会」は7日、同小だけでなく同市内の各小中学校の防災マニュアルは津波対策が不十分だったとする中間報告案をまとめた。同小では津波の訓練は実施も検討もされていなかったという。
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市内小中学校64校を対象に、2011年度の災害対応マニュアルなどを調査した結果、市教委が各学校向けに配布したひな型では、校庭などの避難先に危険が及んだ場合、さらなる避難先をあらかじめ確保するよう求めていた。しかし、実際にマニュアルに記載していたのは17校だけ。大川小はこの17校に含まれるが、避難先は「近隣の空き地や公園」などとあいまいで、具体的な場所は記していなかった。
地震発生から津波襲来までの学校側の対応については、助かった児童、教諭らも含めて今後聞き取り調査などを行い、12月に最終報告書をまとめる予定。
会合は公開で行われ、遺族らが傍聴した。紫桃(しとう)千聖さん(当時5年)を亡くした母、さよみさん(47)は「なぜ大きな被害が出たのかという疑問への答えが、今日の報告では明らかになっていない」と話し、審理の遅さにいらだちを示していた。【近藤綾加】
最終更新:7月7日(日)22時23分