<参院選>原発再稼働急ぐ自民、野党は集中攻撃…初サンデー
毎日新聞 7月7日(日)21時40分配信
参院選公示後初の日曜日となった7日、与野党9党の党首らはテレビの討論番組や街頭演説で論議を戦わせた。安倍晋三首相は原子力規制委員会の新規制基準が8日に施行されることについて「政府は廉価で安定的なエネルギーを供給する責任がある」と再稼働に積極的な姿勢を示した。原発輸出についても推進する考えを強調し、「原発ゼロ」を目指す公明党も含めた他党との違いが浮かび上がった。
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首相はNHKの討論番組で「基準を満たさないと再稼働はしない。安全第一だ」として新規制基準を尊重する考えを強調する一方、原発停止の影響について「現段階ではほとんどの資源を海外に依存しているから、3兆円の赤字だ」と再稼働を急ぐ考えを示した。原発輸出では「世界で最も高い技術を持つのは日本で(海外の)引き合いが来ている。高い水準の安全を世界と共有していくべきだ」と積極姿勢を明確にした。
首相が再稼働を急ぐのは、首相の経済政策「アベノミクス」の行方にも絡むからだ。経済界は原発停止による電気料金の高騰を懸念する。成長戦略の成果を上げるうえでも再稼働を進める必要がある。
だが、有権者に再稼働への懸念が根強いことを受け、他党は慎重だ。公明党の山口那津男代表は同じ番組で再稼働について「国民、立地地域の住民の理解を得られるかどうか、慎重に判断しなければならない」と語り、与党間の温度差も見えた。山口氏は「新しい原発着工は国民の理解が得られない。『40年(廃炉)ルール』で原発はゼロになる」とも強調。「依存度を下げる」と述べるにとどめた首相との違いが際立った。首相はこの日、甲府市など3カ所で街頭演説したが、原発政策には触れなかった。
野党側は原発政策を攻めどころとみて、自民党を一斉に批判する。民主党の海江田万里代表は「原発ゼロの目標があって初めて自然エネルギーの開発などに力が入ってくる」と指摘。みんなの党の渡辺喜美代表も「原発ほどコスト、リスクが高い電源はない」と強調した。生活の党の広野允士副代表は「10年で原発ゼロ」を訴えた。
新規制基準について、共産党の志位和夫委員長は「再稼働ありきのとんでもないものだ」、社民党の福島瑞穂党首も「地震対策が不十分」と批判。日本維新の会の橋下徹共同代表は「安全基準が厳格なものとなり、原発は淘汰(とうた)される」と述べた。みどりの風の谷岡郁子代表は東京・新宿の街頭演説で「被災者を置き去りにしてはならない」と再稼働を進める政府を批判した。【福岡静哉、高橋恵子】
最終更新:7月8日(月)1時42分
- 安倍晋三(あべしんぞう)
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- 所属院 選挙区 政党:
- 衆議院 山口県4区 自民党
- プロフィール:
- 1954年9月21日生 初当選/1993年 当選回数/7回
- (写真提供:時事通信社)