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国際
【国際情勢分析 川越一の目】ウイグル族締め付け 「二重基準」の中国
この通告は大きな危険を内包している。一連の暴力事件の発端となったのは4月下旬、自治区最西部のカシュガル地区マラルベシ県で21人が死亡した事件だった。住民グループが、民家で外国から入手したテロの映像を見ていたとしてテロ集団の嫌疑をかけられ、通報を受けて駆けつけた警官らと衝突した。実は3月下旬に、無期懲役などの実刑判決を受けた20人のウイグル族も、同じ嫌疑をかけられていた。
危険性をはらむ通告
通告が出たことで、当局は「通報」を口実に、ウイグル族の取り調べや家宅捜索を強化することが予想される。ウイグル族と対立する漢族が、虚偽の通報をすることも考えられる。さらに、自分の身に火の粉が降り掛かることを憂慮するウイグル族の間でも、疑心暗鬼となり、ウイグル族の分裂が誘発されかねない。
こうした状況に、国際社会、特に米国は危惧を表明している。それに対し、中国外務省の華春瑩(しゅんえい)報道官(43)は2日の定例記者会見で、一連の事件に関し透明性を強調。「国際社会は全面的に、客観的に事件を見て、事件の真相をはっきり認識することを望む」と反発した。
中国は、新疆で暴力事件が起こると、外国のテロ組織が関与していると主張するのが常だ。中国共産党機関紙、人民日報は、「世界ウイグル会議」が4年前のウルムチ暴動の「黒幕」だと強調。さらに、「周知の事実なのは、世界ウイグル会議の主人が米議会傘下の全米民主主義基金であることだ」と断定している。
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