威力業務妨害事件をめぐる大阪地裁の法廷でのやり取りが無断録音され、動画サイト「ユーチューブ」で半年以上にわたり公開されていることがわかった。録音を原則禁じた裁判所法に触れる疑いがあり、地裁は削除を求めるとみられる。
無断で録音されたのは、JR西日本への威力業務妨害容疑などで昨年12月に逮捕された男性(40)の勾留を認めた理由について地裁が開示した法廷。男性は東日本大震災による「震災がれき」の大阪市搬入に反対するデモをJR大阪駅構内でしたとされたが、3月に不起訴になっている。
動画サイトでは、裁判官が「釈放すると共犯者らと口裏合わせをする恐れがある」と勾留の理由を説明したり、男性の弁護人が「罪証隠滅の恐れはなく、勾留を取り消すべきだ」と主張したりする音声が36分ほど公開されている。笑い声やため息も混じっており、傍聴した人物が傍聴席で録音したとみられる。
公開され始めたのは1月で、これまでに1千回以上再生された。法廷での録音を認めるべきだとする書き込みもあった。弁護人は取材に「コメントのしようがない」と話している。
報道機関は重大な裁判などの開廷前の様子を撮影しているが、これは「裁判官は法廷の秩序を維持するために必要な処置をとれる」とした裁判所法に基づいて映像のみ許可を得ている。(岡本玄)