■お腹がぐーっと鳴るのは胃腸の大掃除のサイン
さて、注目の空腹時だ。
食事が終わり、胃がすべての消化物を十二指腸へ送り出してから70~80分後。迷走神経がおもむろに、空の胃に向かってシグナルを出し始める。シグナルは徐々に強まり、やがて胃は、食後より強い収縮の波を作り出す。この波は胃の範囲を超えて十二指腸、さらに小腸まで連続的に進んでいく。そんな強い脈動が毎分3回、5~10分間にわたって続く。これが、空腹期の強収縮と呼ばれる現象だ。
「胃腸の中を掃除する働きと考えられます」。強い収縮が、食物残渣(ざんさ)や古い粘膜をそぎ落とし、胃腸の中をきれいにする。このとき、よく腸管内のガスが動いて、お腹がぐーっと鳴る。「掃除したので、次の食事の準備OKという合図ですね」。
●空腹時の働き●
お腹が「ぐー」と鳴ったとき、胃は、内部をお掃除するための「空腹期強収縮」を行っている。残った残渣を削ぎ落して胃腸の内部をきれいにするこの働きが、お腹の健康を保っている。
●食べたあとの働き●
食べたものから栄養を吸収するには、ドロドロになるまで消化されている必要がある。食後の胃は、食べたものをこね回して物理的に破砕し、吸収しやすくする役割を担っている。
空腹が続けば、強収縮は約90分ごとに起きる。1日3食とすると、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間はせいぜい1回ずつ。ストレスで胃もたれ気味なら、一度も起きないかもしれない。
強収縮が起きやすいのは夜間だ。「睡眠中に何度か収縮してすっかり掃除し、朝、それを便として出す。こんなペースで動いていれば、胃腸は快調です」。
ところが、寝る間際に何かを食べると、夜の強収縮が起きないという。睡眠中は消化作用が進まないので、胃が空にならないのだ。すると朝から胃がもたれるし、強収縮不足で便秘にもなりやすい。さらに、睡眠が浅くなって疲れがなかなか取れない。悪いことばかりだ。
「お腹の働きと、いい睡眠は、密接につながっています。そのカギは、胃を空にして寝ること」と本郷さん。心に刻んでおきましょう。
北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。
[日経ヘルス2012年8月号の記事を基に再構成]
胃、十二指腸、胃腸、消化、胃もたれ、胸焼け
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