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九電、川内原発再稼働8日申請 「万が一…」住民に不安も

2013/7/6 2:25
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 九州電力など電力4社が5日、原子力発電所の再稼働を8日に申請することを決めた。九電川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の長期停止で疲弊した地元では期待が高まる半面、住民からは事故への不安も漏れる。福島の原発事故を起こした東京電力も、社長が柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働申請への理解を知事に求めたが、物別れに終わった。

 「再稼働の道筋が見えてきた。もうしばらくの辛抱だ」。5日夜、薩摩川内市。川内原発のメンテナンスを手がける下請け会社社長、荒木貞行さん(38)は、24人の従業員一人ひとりに夏のボーナスの明細書を手渡し、ねぎらった。

 川内原発は1号機が2011年5月から、2号機も同年9月から止まったままで、同社の受注も激減。昨年末のボーナスは1人数万円とこれまでの10分の1だった。

 従業員には駐車場の草むしりや溶接の練習などをさせた時期もあった。「原発技術者は高い専門知識が必要。一朝一夕では養成できない」。再稼働をにらみ、歯を食いしばって雇用し続けた。それでも、将来を不安視した6人が自ら退社した。

 夏のボーナスは金融機関から借り、士気を高めようと以前の金額に近づけた。荒木さんは「再稼働で仕事が出てくるから、家族を安心させて」と従業員に語りかけた。

 薩摩川内市ホテル旅館組合の福山大作組合長(62)は「30年以上、原発が前提で成り立ってきた街。あと少しで元の姿に戻る」と待ちわびる。

 川内原発でも新たな規制基準に対応する安全対策工事が数カ月前から行われ、地元のホテルや飲食店は一時的に客足が戻った。だが福山組合長によると、原発停止中の約2年間は、客室稼働率がほぼゼロという旅館・民宿が大半だった。

 既に廃業したホテルもある。「続けていく希望が見えなかった」。昨年8月に営業を終えたホテル。4日、元経営者の女性が明かりの消えたロビーにぽつんと座っていた。「競争相手のホテルが増えすぎて、再開は無理。もう思い出したくないの」と口をつぐんだ。

 疲弊した「原発の街」。再稼働への期待が高まる一方、福島の原発事故を受けて複雑な思いを抱く市民も少なくない。

 市内で買い物中だった主婦(68)は「週3回、(電気の安定供給が欠かせない)人工透析を受けているから、動いた方が安心。でも原発の依存比率は減らすべきだ」。中学生の子供を持つ40代女性は「商店街も空き店舗が増えた。目の前だけを見れば原発はあった方がいいが、万が一事故でもあったらと思うと、気持ちは半々」と話した。

 川内原発を巡っては、薩摩川内市民を含む1958人が操業差し止めを国と九電に求めて鹿児島地裁に提訴。原告3千人を目指し、9月には第4次提訴する。原告団の続博治事務局長は「九電は再稼働しなければ経営が成り立たないという採算性でしか考えていない」と怒りを隠さない。

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九州電力、川内原発、東京電力、原子力発電所、再稼働

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