◇ヤクルト4−0中日
完封で9勝目を飾り、スタンドで観戦した親族に近寄って手を振る小川=ナゴヤドームで(隈崎稔樹撮影)
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中日は8安打しながら1点が遠く、零封負け。借金は再び10となった。ヤクルトの小川は今季2度目の完封を飾り、リーグトップの9勝目を挙げた。中日先発・大野は4回、バレンティンに28号先制2ランを浴びると、7回には上田の2点三塁打で4失点。突き放された。
フェンス越しに、目に飛び込んできたのは母・弘子さん(59)の泣き顔だった。いつも通り、小川がポーカーフェースでヒーローインタビューを終えた。そして愛知県田原市から約30人で繰り出してきてくれた家族や地元応援団の前に駆け寄ると、ちょっぴり照れくさそうに表情を崩した。
「両親がいての野球人生。応援してくれる人たちの前で勝てて良かった」。グラブに「親孝行」と刺しゅうを入れている小川らしい言葉だ。
1993年の伊藤智仁(現1軍投手コーチ・4完封)以来球団では20年ぶりとなる新人2度目の完封勝利。31日に61歳の誕生日を迎える父・吉弘さんへの、ひと足早い最高の誕生日プレゼントになったはずだ。
プロ初登板で初勝利を挙げた4月3日は弘子さんの誕生日だった。2勝目となった4月10日と今回、地元応援団が来るナゴヤドームでの中日戦は2戦2勝。ここぞという時に勝てる集中力の高さは小川の強みだ。
試合の中でもそれは発揮された。7回は中軸の3連打で無死満塁にされたが、前日殊勲打の平田をフォークで空振り三振、ベテラン・谷繁、井端をシュートで料理し、最大のピンチを無失点で切り抜けた。
女房役・中村が「ピンチになるほどいい球が来る」と舌を巻いた勝負強さだ。
球宴前に早くも9勝目を挙げ、球団では04年川島亮以来の新人2桁勝利に王手をかけた。その川島や、02年12勝で新人王をとったエース・石川も10勝目を挙げたのは9月以降。新人王レースのトップを走る驚異的なペースにも「油断することなく準備して、最高のパフォーマンスを見せていきたい」と、淡々と活躍を誓っていた。 (竹村和佳子)
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