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【社会】

漱石「幻の書簡」発見 渡英前したため 友人の学者宛て

夏目漱石が菅虎雄に宛てた手紙(熊本近代文学館提供)

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 夏目漱石が、旧制第五高校(熊本市)の教授だった一九〇〇(明治三十三)年六月、友人のドイツ語学者菅(すが)虎雄に宛てて出した手紙が見つかった。五日、熊本近代文学館(熊本市)が明らかにした。研究者に存在は知られていたが所在が分からず、“幻の書簡”と呼ばれていた。

 井上智重館長は「漱石と菅の親交の深さや、英国留学前の漱石の様子を伝える貴重な資料だ」と話している。

 手紙は明治三十三年六月二十六日付で、英国に留学する二、三カ月前の漱石が熊本から送ったもの。菅が漱石からの借金を返済してくれたことに「少々くつろぎて候」などと丁寧に礼を述べている。

 文学館によると、漱石は留学費用を工面するため、返済するよう菅に申し入れていたという。

 昨年十一月、古書市場に出回っていたのを業者が発見。熊本県が買い取り、文学館が収蔵した。

 文学館は、旧制第五高校教授時代の同僚黒木千尋に宛てた漱石の手紙も新たに収蔵しており、菅への手紙と合わせて十五日まで公開している。

 

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