なぜ「応募資格:JAVA業務経験2年以上」のような求人がエンジニアに見向きもされないのか

エンジニア採用をテーマにして3回くらいのシリーズで記事を書くことになり、今回はその第1回。
エンジニア経験のない人事の人がやりがちな、エンジニアに馬鹿にされる求人を作ってしまわないためのアドバイスをつらつらと書いていきます。


さて、タイトルにあるような「応募資格:JAVA業務経験2年以上」といった求人票はエンジニアの方なら一度は目にしたことがあると思います。
この手の求人を見るたびに、「本気で採用する気があるんだろうか?」と他人事ながら心配してしまうわけですが、おそらく書いた採用担当者は真面目に自分の仕事をこなしているつもりなのでしょう。

しかしまともなエンジニアが見れば、この短い文章からその会社のイケてなさ加減を感じ取り、その会社を事前に知っていて好印象を持っていたとかでなければ、即座にページを閉じて読み飛ばすこと請け合いです。


それはなぜか?

ダメな点のまず第一は、「その会社が技術(者)を大事に思っていない」ことが文からにじみ出ていること。「JAVA」って何ですか「JAVA」って。

正しい表記は「Java」です。
いや同じじゃないかと思った方、本気でそう思っているならコーヒーでもかぶって反省してください。

人の名前って間違えたら失礼じゃないですか。たとえそれが同音異字であっても。 お得意様の「仲嶋」さん宛てのメールに「中島」と書いたら、上司に怒られますよね。
「中島美嘉」は「なかまみか」じゃなく「なかまみか」なんですよ。

できるエンジニアは、技術とそれを作ってくれた人をリスペクトしています。その名前をぞんざいに扱うような会社で働きたいと思うわけがありません。
技術を大事に思っていない会社なら、技術者も大事に扱われていないと普通なら思うでしょう。

ですので技術用語はちゃんと事前に下調べして、つづりや大文字小文字を正確に記述するようにするべきです。
よく間違えがちなのはキャメルケース(複合語をひとつづりとして、要素語の最初を大文字で書き表す方式)の単語。
「JavaScript」は「Java(のような…ってことは全くない)Script(言語)」と言う意味で「Java + Script」なので、「S」は大文字です。

あと日常的にコードを書いている人間は、半角全角に敏感です。まちがっても技術用語を全角英数字で書かないように。



ダメな点の第二は、要件の妥当性が意味不明なところです。

なぜ1年でもなく3年でもなく「2年」以上なのか?
また、会社で何も考えずぐぐってコピペを2年繰り返しただけの人は資格があって、仕事ではC++を使いながら趣味でEclipse(Java製の統合開発環境)のプラグインを作るような人に資格がないのはなぜなのか?

どうせ適当に考えたのでしょうが、その適当感と一方的な足切り基準の腹立たしさが相まって、これまたページをすぐに閉じられる原因となっています。
人事も忙しいので、スキル不足の人に来てもらって貴重な時間を無駄にしたくないから、ある程度足切りをしたいという思惑があるのでしょうが、そもそもマッチング精度が悪い原因は自分たちにあることを自覚してください。

たとえばサッカーチームの入団テストに野球選手が来ることはありません。
また、プロ野球の入団テストに、草野球好きの商店街の中年店主が来ることはまずありませんよね?
それはそのチームが何の球技をどんなレベルで行っているかが、誰にもわかる形で公開されていて見ることができるからです。

応募資格を一方的に書き付けてあるような求人はたいてい、採用されると具体的にどんな技術を使って仕事をすることになるかという肝心なことが書いてありません。

「不用意にそんな情報をネットで公開したら自分がセキュリティ部門に怒られるかもしれないし、どうしても知りたかったら面接に来て聞いてくれたらいいじゃないか」といったところが採用担当の本音でしょう。

いや、だから面接に行くまでの検討の段階でその情報がほしいんですよ。
現場で使っている技術やそのレベル感が伝わる情報が書いてない見当違いの求人票だから、見当違いの人が応募してくるんです。

応募する側のエンジニアの立場に立って、検討のための十分な情報を提供する。 それができて初めて、まともなエンジニアが入社を考えてくれるスタートラインに立つことができます。



「そんなこと言われたって、自分はエンジニアじゃないからエンジニアの考えることなんてわからない」と、そう思われましたか? だからこそ、現場のエンジニアに積極的に採用活動に協力してもらうんです。
上記のような指摘は、本当なら自社のエンジニアにしてもらうべきものです。 最初からそうしていれば、そんなみっともない求人を出す羽目にはならなかったはず。

採用のプロセスに現場のエンジニアがほとんど関わっていないために「JAVA業務経験2年以上」のような求人が出来上がってしまうわけで、エンジニアが採用に影響力を持たない会社であればそもそもロクなエンジニアがいないだろうと、見る側にはそこまで見透かされてしまっています。

求人票の文章は、できれば第一稿は現場のエンジニアに書いてもらうべきで、ヒヤリングしてそれを人事が文章化というプロセスを踏んでしまうと、人事が理解できない技術的な事項は本人がつっこまれるのが嫌で、無難な当たり障りのない記述になってしまいます。

もし開発の人間にそれを頼むことに気が引けたり、逆に頼んでも嫌な顔をされるようなら、その企業風土から変えていかないと、いいエンジニアはいつまでたっても採用できるようになりません。
ウチの営業先の企業様では、求人票作成の際に必ず現場のエンジニアの方にご協力いただくようになっていますが、ほとんどの方が喜んで積極的に関与してくださいます。

変な人が入ってきて苦労するのは現場のエンジニアですからね。普通は頼んで嫌な顔をされることはないはずです。

以上をまとめると、

  1. 技術用語はつづりを正確に全て半角文字で
  2. 一方的な「応募資格」ではなく、使っている技術とそのレベル感がわかる情報を記述する
  3. これらを実現するためにも、積極的に自社のエンジニアに協力を仰ぐ

ということになります。肝に銘じてご参考に。



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「えらそうに大文字小文字云々言ってるけど、お前のとこのサイトのタグは技術用語を小文字だけで書いてるじゃないか」というご指摘があるので補足しておきます。

あれはあくまで「タグ」でして、正式な表記よりもWebサービスとして表記揺れによる混乱を未然に防ぐほうが大切だと考えています。(ちなみにタグはForkwell本サイトと共通でユーザーが自由に作れるため、現在3,000種類以上あります)

そのため、Forkwellでは世界最大のプログラマー向けQ&Aサイト「StackOverflow」にならい、タグのアルファベット表記はあえて小文字限定にしてあります。ご了承のほど。

ライタープロフィール
大岡由佳 (おおかゆか) Forkwell の中の人。
Rubyと猫とアニメと漫画とホームシアターと自転車と手作り石けんが好き。
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