ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
この小説はフィクションです。
実在の人物、団体には関係ありません。
毒者って何?
 ~ネット小説においても、ある程度人気が出ると極少数の攻撃的な読者の目に入るものである。
 彼等は毒者と呼ばれる。「作者に当たり散らす読者」のような意味だ。
 とある作者の作品は、不幸にもそんな毒者の目に止まってしまった。
 が、彼はこれをチャンスだと考えた。
 攻撃的な読者は悪役にちょうどよく「小説内でこれを徹底的に打ち負かせば、そこそこの爽快感が得られる」と思ったのだ。
 思った彼は書き込んでいく。
 自分にとって気分のいい物語を~


 小説家を目指し、ネットで小説を書いている朝倉ヤシロの使ったネタは、とあるコミュニティ内で人気のあるタイトル、単語を切り貼りするというものだった。
 例えば『俺の〇〇が~』『〇〇オンライン』『〇〇ライフ』『妹』『転生』というタイトル、言葉が人気だったとすれば『俺のネクストライフは妹オンライン』のようにしてタイトルを作る。そんな感じだった。
 もちろん、そうすれば負のコメントが寄せられる可能性があるとは分かっていた。
 しかしあくまで『ギャグを狙いすぎ』という方向のものであり『許可なく使ってはならない』『道徳に反する』とまで断定されるとは考えていなかった。
 いや、頭の隅にはあった。しかし想定した規模を超えていた。
 いや、この行動に責任を求め、断罪しようとする輩は少数であり、その言葉にも特定コミュニティだけが好むような『謎の常識』が散りばめられていたのだが、長々とうっとうしいから気に障ったのだ。

 特に面倒なのが「矛盾」という名のユーザーだった。
 ネットで検索するとすぐに有名な『毒者』だと分かったのだが、それも納得の攻撃性であった。
 『汚点』『責任』『追及』という言葉を好んで使い、作者を『厚顔無恥』だと断定し、煽って他の読者にも攻撃させようとしていた。また、そうして『追及』している自分が『正義を執行しているのだ』と信じて疑わず、その想像の世界で悦に入っているようだった。

 一部抜粋すると
 作者の活動報告内での「タイトルネタがつまらないのがダメだった」という言葉に対しては
「ということは、万人にウケる自信があったから使ったのですね。それはうぬぼれです。それに今回は、他者の気持ちを考えない自分勝手な思考が問題だったと思います」
 と返していた。
 さらに「万人にウケる作品などない。しかし、許される基準がある」という言葉に対しては
「それはつまり、他者の気分を害すると承知で今回のネタに及んだのですよね。万人にウケる作品の困難さは分かりますが、それと他の作者や読者の心情を思いやらないのは別問題です」
 と返していた。
 その後の「目立たなければセーフですし、目立っても、おもしろくなくても、受け入れられた場合はセーフです。特に自分はこのサイトの運営と似た行動をしているので、このサイト内での責任追及は難しいはずです」という言葉には
「セーフだと言うのはやめてください。セーフではないから批判されたと思いませんか? 運営の悪い部分を話題に出して、真似ていると言って何になるのでしょう? 運営同様に、自分の失敗も仕方ないという言い訳ですか?」
 と返していた。
 短く「後は運営に聞いてください」という言葉に対しては
「規約の問題ではなく良識の問題なので、その言葉の意図が分かりません。セーフだと思った。運営に合わせている。など責任逃ればかりおっしゃっていますね」
 と返していた。

 原文はさらにたっぷりと皮肉を交えたものであり、分かりづらい、気分を害する言葉を羅列していた。
 しかし、原文を抜粋し、原文よりも悪らしく見せる手法はヤシロの道徳心に反した。
 よってむしろ醜い言葉は伏せて、重要な意味の流れだけが分かるように抜粋することにしたのだった。いや、「矛盾」のやり方を否定したいヤシロにとっては、これも必要な処置だったのかもしれない。

 ただ、「矛盾」の起こした行動はこれだけでは無かった。
 某巨大匿名掲示板で、ヤシロの悪名を広げようとしたのは序の口だ。
 彼はさらに『盗作者を断罪する』サイトにまで出張し、やはり攻撃的な言葉を多分に交えてヤシロを責め立てた。もちろんヤシロは『盗作者』ではないが、そのサイトは『盗作者』でない作者でも『痛い言動をしたから』などという理由で笑いものにしていたため、「矛盾」のしたこともそのサイトでは問題になっていない。


 さて、実はヤシロはVRMMOの類に理解があった。
 どころか兄がその開発に携わっており『コンピュータと脳細胞をリンクさせることで、ヴァーチャルリアリティを感じさせる』というソフトウェア、ハードウェアを持っていた。(ネット上の匿名での言動を「矛盾によるものだ」と断定できたのも兄の力によるものだった)
 今回はそれを使い、「矛盾」に自戒を促そうと考えた。
 兄に相談し、少し改造してもらい、「矛盾」のパソコンからでも飛ばした電波で電脳世界を感じさせられるようにした。
 と言っても、一般家庭のパソコンでは処理能力が低く、いい加減な夢を見せる程度の干渉しかできなかったが。
 が、それで十分だった。
 言葉を伝えたり、恐怖に陥れたりはできるようだから。

 そしてヤシロは、嬉々として「矛盾」の夢に侵入する。
 ラスボスも真っ青な凶悪な魔人として。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
※感想を書く場合はログインしてください。
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。