受け入れ側代表に有罪判決−中国人実習生の賃金着服

  中国人実習生の賃金約1億円を着服したとして、業務上横領と労基法違反(中間搾取)の罪に問われた千葉県銚子市の受け入れ組織「全国生鮮食品ロジスティクス協同組合」の代表理事鈴木進被告(51)と理事島田晴美被告(50)の判決公判が24日、千葉地裁で開かれた。

  久保真人裁判長は「犯行の動機は身勝手で、賃金管理を委託した受け入れ企業の信頼を裏切った」として、鈴木被告に懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)、島田被告に懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。

  また同組合と関連会社にそれぞれ求刑通り罰金50万円の支払いを命じた。

  判決で久保裁判長は、組合が受け入れ企業から賃金を預かっていたことについて「実習生の帰国担保も目的で、その必要性は一概に否定できない」と指摘。事件発覚後に中国の派遣元機関に約1億円が送金されており、ある程度被害が回復されていることなどを執行猶予の理由として挙げた。

  判決によると、同組合は国の外国人技能実習制度に基づいて各地の水産加工会社に中国人実習生を派遣し、1996年7月から約2年間、実習生219人の賃金約1億6,000万円を預かった。


【千葉大の手塚和彰教授(労働法)の話】

  判決は、受け入れ組織が帰国担保として賃金を預かる制度に一定の理解を示しているが、労基法上はあくまで直接払いが鉄則。預り金を認めれば実際の雇用主である受け入れ企業の責任もあいまいになり、技能実習制度が単純労働力の供給源として利用されかねない。

(共同通信)

 
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