米パソコン大手デルの株式非公開化に向けて、米未公開株(PE)投資会社シルバー・レイク・パートナーズとともにマネジメント・バイアウト(MBO)を提案している創業者のマイケル・デル氏は買い取り額を引き上げない方針だ。事情に詳しい関係者が明らかにしたもので、これを受けデル株価は5日、下落した。デル氏の現在の244億ドル(約2兆4600億円)の提示価格では近く開催される株主投票で承認が得られないと投資家が懸念したためだ。
デル氏とシルバー・レイク・パートナーズは、2月に1株当たり13.65ドルで買収することで会社側と合意したが、一部株主の反対や議決権行使助言会社がこの買い取り額を妥当とするか疑問視されて、買い取り額の引き上げ圧力がかかっている。こうした助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)とグラス・ルイスは、推奨価格を間もなく出すと予想されている。
ただ、この関係者によると、現在もデル社の会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるデル氏が提示価格を引き上げず、助言会社の推奨に現在の提示額で対抗することを決めたので、価格の引き上げ期待は急速にしぼんでいる。デル氏とシルバーレイクは、今週末にも予想されるISSからの株主への助言が好意的なものになるかについては自信が持てない状況で、また、提示価格の多少の引き上げではISSからの否定的な見解を克服するには不十分であろうと考えている、と関係者はいう。
5日のデル株は日中段階で一時、前日比3.3%下落し12.87ドルとなったが、この下落はデル氏の提示価格にも、それに対抗する物言う株主のカール・アイカーン氏の買収提案も納得していないことを示唆している。アイカーン氏の提案は1株14ドルで11億ドル分の株式を取得し、完全買収せずに発行株の一部については市場で取引されるままに残すというものだ。
こうした買収交渉では、買収提案側が提示価格を引き上げることも検討してもいいと内心考えていても、交渉の最終段階までは明かさないことはよくあることだ。デルの今回の交渉に関与している複数の関係者は、シルバーレイクがこれ以上価格を引き上げないことを明言しているといい、デル氏自身も今回価格を引き上げない決断をしたとその関係者の1人が明かした。ただ、複数の関係者は5日、デルの取締役会にはそうした決断は伝えられていないと語った。
このデル氏の決断は先に、ニューヨーク・ポスト紙が報じていた。
そうした中で、デルの特別委員会は株主がデル氏のMBO提案を否決した場合は会社に「ダウンサイド・リスク」があるとして、買収を支持する新たな意見を表明した。さらにアイカーン氏のデルに対する評価額は「非現実的」な比較に基づくものだと指摘した。そしてデル氏の提示価格である1株13.65ドルは、現在のパーソナルコンピューター市場の動向や、同社の直面する他の問題を考慮すれば妥当な価格であるとした。
一方、アイカーン氏は、デル氏らが同社の経営健全性や買収の意図について不誠実な説明しかしていないと思うと述べた。「彼らのプロパガンダにはうんざりだ。もし(価格を上げずに)そのまま行くなら、そうさせて終わりにしたい」とインタビューで話した。もしデル氏らの提案が否決されればそれを歓迎し、アイカーン氏自身の資本再強化提案を追求するとした。
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