指揮官をプロの世界に導いたのは当時、阪神のスカウトだった今成の父・泰章氏(57)=現日本ハムスカウト=だった。ファーストストライクを仕留めた一発はプロ初の決勝打。孝行息子に感謝した。
今成は一昨年に同い年の裕衣さんと結婚。昨年は虎風荘で単身赴任だったが、今季からは西宮市内でともに暮らしている。プロの世界に飛び込んだが、定位置を勝ち取れない日々が続く。このままではいけない-。結婚を機に責任が芽生え、父に漏らした言葉がある。
「1軍で試合に出て活躍しなければ、プロ野球選手じゃない」
福留が「左ひざ内側半月板のクリーニング手術」を受け離脱し、右翼には多くの若虎にチャンスが与えられたが、つかんだ者は誰1人いない。実績十分の福留の復帰が8月中に早まる見通し。今成にとっても多くの時間はない。本職は捕手だが、試合に出るためなら、自慢の打力を生かす。ドラフト1位の伊藤隼が2軍落ちする現状で、大きなチャンス。勝負の7月になる。
「もちろん両親もそうですが、嫁さんに感謝したい。与えられた仕事に元気を出してやっています。孝介さんが帰ってきてもライトを守れるように頑張りたい」
もちろんこの1試合だけでは終わらない。若虎のハングリーさが必ず巨人追撃のガソリンになる。 (渡辺 洋次)
今成 亮太(いまなり・りょうた)
捕手。1987(昭和62)年10月6日、埼玉県生まれの25歳。浦和学院高から2006年高D4巡目で日本ハムに入団。08年3月25日の西武戦(札幌D)でプロ初出場。昨季途中にトレードで阪神に移籍。通算126試合、打率・273、1本塁打、12打点。1メートル78、80キロ。右投げ左打ち。年俸720万円。背番号「49」。父・泰章氏は阪神を経て、日本ハムスカウト。
(紙面から)