打った本人が一番ビックリだ。夕暮れ時の広島の空に白球の放物線を見事に描いた。8年目の今成がプロ初本塁打。両親、監督、そして、妻へささげる一発で連敗を「3」で止めた。
「どう打ったのかもわからない。まさか入ってビックリしました。1本目まで長かったです」
1点を追う二回。一死から新井がソロを放ち、同点にした。次の打席に立ったのは3試合連続で「6番・右翼」でスタメンの今成だった。前回6月28日の対戦で、六回まで無安打無得点と手こずった武内が投じた高め139キロ直球を一閃。高々と上がった打球は右中間最前列に着弾した。驚きの表情を浮かべながら、二塁を回った。ベンチに帰ると、西岡不在の中、お決まりの祝福ポーズの中心に立った。2011年9月30日の中日戦(甲子園)で新井、ブラゼルが放って以来。2年ぶりの2者連続アーチ。あっという間に逆転した。
息子を見るような優しい目つきで和田監督は今成の積極性を称えた。
「代打のときは積極的にいくし粘り強い打撃ができるけど、(スタメン時は)3、4回立つという(余裕)のが心のどこかにあるかもしれないね。それを打撃コーチが『全打席代打の気持ちでいけ』と。それが結果につながったと思う」