東北のニュース

震災、声なき首都圏 復興、経済政策の陰

街頭演説に耳を傾ける市民ら=4日、東京・有楽町

 4日公示された参院選(21日投開票)の序盤戦で、東日本大震災や福島第1原発事故をめぐる各政党の訴えが首都圏でかすんでいる。争点は経済政策が中心で、震災復興はさながら「被災地限定」の様相を呈する。原発問題も被災者視点に立った主張は乏しく、震災の風化を際立たせている。(東京支社・若林雅人、元柏和幸)

 4日午後、東京・池袋で街頭に立った安倍晋三首相(自民党総裁)は、15分強の演説の大半をアベノミクスの成果に費やした。
 安倍氏は同日朝、福島市での全国第一声で「福島の復興なくして日本の再生はない」と声を張り上げたが、その後都内2カ所で行った演説では、「衆参のねじれを解消しないと経済再生も復興も加速しない」と語った程度だった。
 「福島の復興なくして…」の文言は、もともと野田佳彦民主党最高顧問が首相在任時に多用したフレーズだった。その野田氏は同日、千葉県松戸市などで現政権の経済、社会保障政策を批判したが、震災や原発事故には触れなかった。
 原発事故担当相を務めた民主党の細野豪志幹事長ですら、首都圏で最初となる5日の東京・新宿での演説では原発事故に言及しなかった。
 東京・有楽町で4日に第一声を上げた日本維新の会の石原慎太郎共同代表は、官僚支配打破や憲法改正をめぐる持論に終始した。
 みんな、生活、共産、社民、みどりの風の各党は首都圏の第一声で原発に触れたが、再稼働反対などエネルギー政策の面からの言及が大半。生活再建や除染をめぐる主張は聞かれなかった。
 震災に関連した選挙戦初日の訴えは、公明党の山口那津男代表が池袋で「高台移転を進めなければならない。被災者の小さな声にも応えていく」と語った程度。「震災」「岩手・宮城」「被災者」が政党幹部らの口に上ることは極端に少ない。
 被災地出身の比例代表候補者は4日、都内での演説で「被災地は放置されている。多くの事実が伝わらないもどかしさがある」と風化への危機感を訴えたが、聴衆の反応は乏しかった。


2013年07月06日土曜日


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