貧困ビジネスをテーマにした読売テレビ放送(大阪市)の番組に出演した男性(53)が「音声を加工されなかったために身元が明らかになり、放送直後に襲われた」として、約6300万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁(相沢真木裁判長)で和解した。読売テレビ側が男性に100万円の解決金を支払うことで合意したという。
男性は読売テレビが2010年12月に放送した報道番組に匿名で出演。医療費扶助制度が悪用され、生活保護受給者が無償で受け取った向精神薬が転売されている、などと証言した。放送の2日後、男性は大阪市内の知人の会社で何者かに襲われて重傷を負ったとして翌11年11月に提訴した。
読売テレビ側は「顔にモザイク処理をするなどの配慮はした」として請求棄却を求めていた。和解は先月3日付で、同社総合広報部は「事件との因果関係はないと考えているが、裁判所の勧めに応じた」としている。事件については大阪府警が殺人未遂容疑で捜査中で、男性の代理人弁護士は取材に「容疑者が捕まっていないため、因果関係の立証が難しく和解した」と話した。(岡本玄)