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地熱発電 規制緩和後 初の掘削調査へ
7月5日 5時10分

地熱発電 規制緩和後 初の掘削調査へ
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原発事故のあと再生可能エネルギーによる発電に注目が集まるなか、地熱発電を巡り国が国定公園などでの規制を緩和して初めて、秋田県の国定公園で開発に向けた掘削調査が今月下旬にも始まることになりました。

調査を行うのは大手石油会社の「出光興産」などで、4日、会社の関係者が県庁を訪れ、秋田県によりますと、秋田県湯沢市の「栗駒国定公園」で地熱発電の開発に向けて掘削調査を行うことで地元の同意が得られたとして、今月下旬にも始めることを伝えたということです。
今年度の計画では、国定公園の中の「特別地域」の2か所で、地質や地下の温度などを効率よく調べるため、それぞれ地下2000メートルまで垂直に掘るということです。
地熱発電は地下深くにある高温の蒸気を使ってタービンを回し、発電するものです。
熱源が豊富な国立公園や国定公園の中が適した場所とされていたため、自然保護の観点から厳しく規制され、開発があまり進んでいませんでした。
しかし、原発事故のあと、再生可能エネルギーによる発電に注目が集まるなか、特に、天候に左右されずに安定した電力を供給できる地熱発電を普及させようと、環境省は去年、地元の合意を得ることなどを条件に開発ができるよう規制を緩和していました。
規制が緩和されて以降、国定公園などで掘削調査が行われるのは今回が初めてで、事業者は今後、調査結果を踏まえ、地熱発電ができるかどうか判断することにしています。

地熱発電の現状と課題

地熱発電は、地下深くにあるマグマの熱で出来た高温の蒸気を吸い上げ、タービンを回して発電します。
環境省や資源エネルギー庁によりますと、国内の地下の蒸気を使って地熱発電を行った場合、原発23基分に当たる2340万キロワットを発電することができると推計され、その資源の量はアメリカやインドネシアに次いで世界で3番目に多くなっています。
しかし、現在、国内で稼働している地熱発電所は17基で、電力の供給量は日本全体の発電量の1%に満たないということです。
背景には、国内の地熱発電に適した場所のおよそ8割が国立公園や国定公園の中とされ、開発が厳しく規制されてきたことが影響しているということです。
こうしたなか、おととしの原発事故で再生可能エネルギーによる発電が注目され、特に、天候に左右されずに安定した電力を供給できる地熱発電を普及させようと、環境省は、去年、地元が合意していることや、自然環境などへの影響を最小限にするための技術や手法が取られていることなどを条件に、国立公園や国定公園の中で開発ができるよう規制を緩和しました。
資源エネルギー庁によりますと、現在、国立公園や国定公園で地熱発電の開発が計画されているのは、北海道の「阿寒国立公園」と「大雪山国立公園」、秋田県の「栗駒国定公園」、福島県の「磐梯朝日国立公園」や、大分県の「阿蘇くじゅう国立公園」で、規制緩和を受けて地元との協議が各地で行われているということです。
しかし、温泉の事業者や自然保護団体から「温泉が枯れる」、「自然環境への影響は避けられない」などと開発に反対する意見が相次ぎ、協議が十分に進んでいない地域もあるということです。
また、掘削して発電するまでに10年ほどかかるとみられるということで、主力の電源として活用するには課題が残されています。

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