米国株:上昇、米雇用増を好感-S&Pは3週ぶり大幅高
7月5日(ブルームバーグ):5日の米国株 は上昇。S&P500種株価指数は3週ぶりの大幅高となった。朝方発表された6月の米雇用統計で予想以上の雇用者の増加が示されたことが好感された。
リンカーン・ナショナルを中心に生命保険会社の株価が上昇。米金融当局が資産購入の縮小を開始するとの見方を手がかりに、債券利回りが上昇したことが影響した。銀行キーコープも高い。ウェルズ・ファーゴが新資本規制は大手銀行よりも地方銀行に有利との見解を示したことが好感された。電気自動車メーカーのテスラ・モーターズが上昇。香港での受注が良好だった。一方、住宅建設株は下落。金利上昇が住宅市場回復の妨げになるとの懸念が背景にある。
S&P500種株価指数は前営業日比16.48ポイント(1%)上昇して1631.89。6月13日以来で最大の上げだった。週間ベースでは1.6%の上昇。ダウ工業株30種平均は147.29ドル(1%)上げて15135.84ドル。前日の米株式市場は独立記念日の祝日で休場だった。
ノーザン・トラスト(シカゴ)のアクティブエクイティーズ責任者、マシュー・ペロン氏は「雇用統計の内容は非常に強い。米国に必要とされている企業の増益を支援するという点で株式にとって有利な内容だ」と述べた上で、「利回りの上昇を織り込まなくてはならない。この先どこまで上昇するのかを見極め、その水準に慣れる必要がある」と続けた。
6月の米雇用統計米労働省が発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比19万5000人増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は16万5000人増だった。5月の雇用者数は19万5000人増と、速報値の17万5000人から上方修正された。家計調査に基づく失業率は7.6%で前月と同じ。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は5月22日、米議会証言で「引き続き景気改善が見られ、その改善が持続的だと確信した場合、今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」と述べた。S&P500種はこの証言の前日21日に最高値を記録。この水準からこれまでに2.2%下落した。
8日の通常取引終了後に発表されるアルミ生産のアルコア決算を皮切りに、各社は第2四半期の決算を発表する。ブルームバーグがまとめたデータによれば、S&P500種採用銘柄の第2四半期の利益は平均で1.8%増と予想されている。
ボラティリティ指数S&P500種の下げに備えたオプションのコストを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX )は8.1%低下の14.89。5月30日以来の低水準となった。VIXは約80%の確率でS&P500種と反対方向に動く。
S&P500種産業別10指数のうち9指数が上昇。金融株や工業株、ヘルスケア関連株が上げた。JPモルガン・チェースは2.3%高、バンク・オブ・アメリカ(BOA)は1.8%値上がりした。
リンカーンは5.4%高。顧客からの保険料を債券やその他資産に投資して将来の支払いに備える生命保険会社では、金利上昇が増益への追い風になることがある。メットライフは2.7%上昇。
テスラ・モーターズは4.2%上昇し、上場来最高値の120.09ドル。新型「モデルS」セダンの大型契約を香港で受注した。同社はモデルSの今年の世界販売台数を2万1000台と予想している。欧州とアジア地域で同車の納入は下半期に開始する。
一方、S&P住宅建設株価指数 は3.4%下落。米国債利回りがほぼ2年ぶりの高水準に上昇したことが手がかりだった。同株価指数を構成する11銘柄はいずれも下落。トール・ブラザーズは3%安、レナーは4%値下がりした。
原題:U.S. Stocks Rise as Employment Growth Tops Economists’Forecasts(抜粋)
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更新日時: 2013/07/06 06:27 JST