【シリーズ復興】(12)次の住まいどうする、揺れる被災者
最終更新日：2013年7月6日
仮設住宅の次の段階として、自宅再建が難しい人向けの災害公営住宅（復興住宅）の入居が始まっています。しかし被災者は仮設住宅を離れるにあたり、新たな不安や戸惑いを抱えているようです。「次の住まいをどうするか」で揺れる被災地の現状を探ります。
復興住宅ってなに？
- 国や自治体はまず仮設住宅への入居を勧め、仮設住宅の入居期限（原則２年、今回はさらに１年延長）以内に自宅再建が困難な被災者には、復興住宅をあっせんします。自然災害が起きてから３年間は収入に関係なく入居できますが、東日本大震災は被災規模が大きく建設が進まないため、最長１０年に延長されました。また、福島第１原発事故で自宅を残したまま避難した人も特例（とくれい）で認められました。
質問なるほドリ:復興住宅って何？ - 毎日新聞（2012年6月10日）
被災者の思い
仮設住宅での声
- ・年金生活。例え、復興住宅団地ができてもそこに入居して、生活するのは経済的に無理。
・仮設住宅で４人住むのは、狭ませい。職場もないし、高台移転まではいられないので、内陸に引っ越すつもり。
東日本大震災の被災者が語る現状の声〜２つの仮設住宅で「飛び込み聞き取り取材」.どんなニュースよりも、大事なことです。 - 山と土と樹を好きな漁師（2012年10月3日）
復興住宅への入居始まる
- 「何より明るいリビングがいい。今までに比べれば、ここは天国みたい」
狭い仮設住宅では、高齢の住民らが自然に家から出てきて集会所やベンチに集い、交流も深まった。だが、復興住宅は居心地がいいのか、住民がなかなか外に出てこない。
【復興住宅】被災者 あふれる笑顔 - 読売新聞（6月11日）
- 宮城県山元町では、ファミリー向けの３ＬＤＫは、９戸中３戸分にしか応募者はいなかった。勤務地から遠い上、家賃が高いことが背景にあるとみられる。
一方、仙台市では復興住宅の希望者が増えている。５月末の調査で、約２６％は市外で被災した人だという。
復興住宅 人気に偏り…宮城 - 読売新聞（6月22日）
空き室や整備計画が課題
- 市建築課の担当者は「まだ『仮設暮らし』でいい、と思っている被災者が多い」と話す。
一方、自治体側は、公営の復興住宅急増に伴い、その維持管理費の負担がのしかかる。
【復興住宅】空室、維持費…課題も - 読売新聞（6月11日）
- 計画が固まってから入居できるまでに１年以上かかることもある。自治体の担当者は、「この間に被災者の家庭事情や経済状況は変化している」とみる。
政府が今年４月に仮設住宅の入居期間を１年再延長したこと、市町村から自力再建の支援策が次々と打ち出されることも意向の変化に拍車をかけている。
復興住宅 目立つ空き家 - 読売新聞（6月27日）
- ほとんどの仮設住宅が入居期限を迎える２０１４年度末までに完成する見通しが立っているのは１万３６９３戸（５７％）にとどまる。
復興住宅、４割が「仮設」期限に間に合わない - 読売新聞（2012年11月19日）
別の町へ移転希望する被災者も
- 今回の仮設住宅アンケートでは「南三陸町の被災者が住める災害公営住宅を（西隣の）登米市に造ってほしい」「仮設を出た後も登米市に住みたい」といった切実な声が相次いだ。
帰還希望、半数割る 登米市内の南三陸町仮設住民アンケート - 河北新報（6月30日）
- 災害公営住宅は市が地震と津波被災者向けに１６団地計約１５００戸を確保する予定で、早い場所では来年３月末までに入居が可能となる見込み。一方、県は原発事故の避難者用に２５０戸の整備を決めたが、建設戸数の上積みが必要になっている。
【いわきの物件満杯状態】 住宅不足深刻さ増す 賃貸建設追い付かず 「災害公営」まだか - 福島民報（5月2日）
- 菅本さんは町が4月下旬に実施した避難所生活に関する意向確認のヒアリングの際に「最後まで避難所に残りたい」と答えている。
「なぜ放射線量が高い福島県内に戻らなければならないのか」と菅本さんは疑問を投げかける。
追い詰められる、福島・双葉町123人の避難民 - 東洋経済オンライン（5月26日）
課題克服への取り組みや意見
- ４月２４日に入居が始まった大船渡市大船渡町の災害公営住宅「田中東団地」（１２戸）はバリアフリーに配慮した設計だ。
災害公営住宅 生活弱者へ配慮必要 - 岩手日報（5月6日）
- 石巻市は、復興住宅の用地提供者や河川堤防などにかかる住民と、災害弱者を優先する一方、抽選では震災前の地元コミュニティーへの配慮を最も優遇する項目として打ち出した。
焦点／復興住宅 被災前地域社会どう維持 - 河北新報（2月17日）
- 岩手県釜石市に作られた高齢者らのケアを重視した仮設住宅で、孤立や不安の解消に一定の効果があったことがわかった。
釜石市は、約1000戸に上る復興住宅に見守りの仕組みを導入する考えだ。
［大震災２年］ケア型仮設 効果は上々 - 読売新聞（3月19日）
- 災害公営住宅の数は自力再建の数と表裏一体。限られた土地で無駄な建設をなくし、将来の負担を軽減するためにも、自力再建への支援拡充こそ復興施策の柱に据えるべきだ。
災害公営住宅 綿密な供給計画重要 - 岩手日報（5月9日）