駅で無線LAN、トンネルで携帯…鉄道各社、通信環境に力
関西の鉄道事業者が、駅での公衆無線LANサービスやトンネル内での携帯電話利用ができるよう通信環境の整備を急いでいる。スマートフォンやタブレット端末の増加に伴い、サービス向上を図ると同時に、災害時に情報にアクセスしやすくする。一方、スマホの画面を見ながら歩いて線路に転落する事故も発生しており、各社は注意喚起も強化している。
JR西日本は今月から、外国人向けの無線LANサービスを京都や大阪など11駅で始めた。ゲスト用のパスワードを取得した上で無料でインターネットに接続できる仕組み。災害時には、だれでも使えるようにし、「早期避難や被害の最小化につなげたい」とする。一般向けの無線LANサービスも29駅で開始した。
近畿日本鉄道は無線LANのアクセスポイントの整備駅を拡大中。今年1月末時点で京都や近鉄丹波橋など86駅に導入し、本年度上半期にさらに26駅増やす。阪急電鉄は本年度中に全86駅に整備する。京阪電気鉄道は大津線を除く60駅で無線LANを使えるようにした。いずれもKDDI、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、ワイヤ・アンド・ワイヤレスなどの無線LANサービスの全部か一部を導入している。
京都や大阪の市営地下鉄は無線LANサービスの提供に加え、携帯電話会社と協力し、トンネル内で携帯電話のネット接続やメールの送受信ができるよう設備の整備を進めている。京都では3月に供用開始した四条-竹田間に続き、本年度中に残りの烏丸線、来年度中に東西線で整備する計画だ。
大阪は昨年度サービスを開始した中央線や御堂筋線の一部などに加え、本年度に全線で走行中の列車内でも携帯電話がつながるようにする。通常時の利便性向上はもちろん、「災害時に外部との通信手段として有効」(市交通局)とする。
一方、スマホなど携帯電話の画面を見ながら歩く「ながら歩き」による事故も起きている。大阪市営地下鉄では、ながら歩きで線路に転落する事故が昨年度2件、本年度はこれまでに1件発生した。市交通局は歩きながらの操作を控えるよう呼びかける放送を駅構内で流しており、注意を求めている。
京都市営地下鉄では同様の転落事故は報告されていないが、関西の鉄道事業者でつくる関西鉄道協会は転落事故防止の取り組みが必要として、啓発キャンペーンを検討している。
【 2013年07月05日 09時00分 】