振り返ると、さまざまな経験を積み重ねながら着実に成長する日々を送ってきたと松原は言う。スタートはコンシューマ営業。「ここでは携帯電話の販売最前線で、いかにお客様にauに興味を持って頂き、売上を伸ばすか…その限界値に挑む中で、代理店さんとのコミュニケーション力や戦略実行能力に磨きをかけました」。続いてもともと海外志向のあった松原は海外トレーニー制度に応募。狭き門をくぐり抜けて、KDDIドイツに駐在。「一転、ここではソリューション営業へ。何もわからないまま着任し、半年後にはお客さまの事務所移転プロジェクトのフロントを任されたことが印象に残っています。プレッシャーと戦い、先輩に助けてもらいながら現地キャリア・ベンダーを統括しながら無事やり遂げた“濃密な体験”から得たことは測り知れません」。
帰国後は、海外M&Aなどの新規投資案件や関連会社の管理/整理の仕事を手掛ける。「再び職場環境が変わり、少々戸惑いましたが、この変化を、自らを鍛える好機と捉えて、前向きに果敢に何でもトライする気持ちで頑張りました」。南米への単身出張も経験した。現地業者との過酷な交渉のテーブルにも身を置いた。「言語も文化も全く違う中、未知なる領域に足を踏み入れる極度の緊張感を味わったことも、プレッシャーに押し潰されるような局面を何とか乗り切ったことも、今では良き想い出です。絶体絶命の窮地を経験すると、人間の限界値ってグンと上がるんですね。そして驚くほど成長できる。それを、身をもって知りました」。現在、松原はソリューション営業として外資系企業への提案活動を行っている。「再びの環境変化です。さらなる自己鍛錬のチャンスです。今では、この変化を楽しめるまでになっています(笑)」。
南米への単身出張が最も印象に残る体験であり、そして最大の窮地であり、最大の成長機会だったと松原は言う。「突然の命を受けて、当日発券にて成田を出発し、さらには現地関連会社との交渉の最前線に立つという過酷な任務を遂行しました。その当時は必死で、少しの余裕もありませんでしたが、今振り返ると、いかに貴重な体験だったか、そしていかに自らの人生のアクセントとなり、それがその後の成長の糧となったかが、わかります」。松原の座右の銘は“やらないで後悔するよりはチャレンジして後悔する方がいい”だという。南米出張は、まさにこの言葉を実感するものだった。「孤独と闘いながら粛々と現地関連会社との交渉業務をしました。辛い想いもたくさんしましたし、くじけそうにもなりましたけど、何とか業務をやり抜きました。今なお、現地で親切にしてくれた方々に思いを馳せることがあります。でも、一方で、その気持ちは“日々最大限のチャレンジ努力をすること”を自らに言い聞かせる“警告”にもなっています」。
入社当初は“お金を稼ぐって大変だな”くらいの意識だった。その後、さまざまな経験を積んで、自らの言動・行動の影響力が大きくなるにつれ、“悔いのない仕事を全うしたい!”と考えるようになったという。「現在は“自分にしかできないこと、自分だから信頼してもらえること”を意識して、自分の価値を見いだしながら、それを高める努力を続けています」。また、松原は新人時代に肝に銘じた「社内人脈を築け!」という先輩からの助言を今なお大切にしている。「今改めて仕事を続けていて、この言葉の重みを実感しています。社外は言うまでもありませんが、社内でのコミュニケーション能力が人脈の厚みになり、そのまま“営業力”になるんですね。“松原が言うんだったら頑張ろう”と思われるのと、“またコイツか”と思われるのとでは、その差は歴然。だから私としては、いざという時に最大の支援を得られる“親衛隊”を社内に編成するための地道な努力をしています(笑)」。松原の人生観は“最後に後悔しない人生を。No day but today!”だという。「同じ時間を生きるなら笑顔でハッピーに過ごしたい。お客さまも同僚も、そして家族も友人も、私の関係者すべてが常に幸福感で満たされるよう“自分にできる最大限のこと”にこだわっていきたいと思っています」。
コンシューマ営業、ドイツ駐在、グローバル財務など、すべての経験がつながって今に生きていると、松原は最近つくづく実感するらしい。「ソリューション営業のミッションは、オールKDDIのリソースを最大限に活かし切ることだと私は考えています。ケータイもタブレットも、ネットワークもクラウドもグローバル商材もICTソリューションもM2Mも、すべてが売り物です。また、今まで築き上げた社内外の人脈もスキルも、すべてが営業武器になるはずです。そう考えると、私たちが活かすべきビジネスチャンスは無限大に広がっているのです」。この言葉通り松原は、ある外資系企業のグローバルネットワーク構築案件を受注へと導いた実績がある。アジアを始めとする世界数十拠点を高品質なネットワークで結ぶためのイントラサービスを売り込むべく奔走。KDDI現地法人とチームを組み、メンバー全員でシンガポールでお客さまにプレゼンをして、見事受注を勝ち取った。
「最終的にはKDDIのサービス品質、そして私たちの誠意が決め手になりました。この成功は、グローバル市場におけるKDDIのプレゼンスを高めるきっかけになるはず。これからも自ら劇的な変化を起こすチャレンジを行っていきたいと考えています」。松原には特に大きな夢はないという。今を精一杯頑張れば、次の目標が見え、それを一つひとつクリアすれば、結果的に何かを成し遂げることにつながるはずであると彼女は考えている。「私の挑戦テーマを強いて言うなら、どこに居ても信頼される存在を目指すということでしょうか」。企業価値の最大化のための最善策を、絶えず客観的な視点と独特の感覚で語る松原に対して信頼を寄せるお客さまは多い。この評価こそ、松原が目指すプロとしての理想なのである。
残り少ない学生時代を満喫しながら、どういう社会人になりたいか、考えてみてください。どんなイメージでもいいと思います。そうすれば、それが会社選びの尺度となるはずだから。人生、思い通りにいかないことも多々ありますが、まずは“自分にしかできないこと”“やってみたいこと”にこだわりましょう。そしてそれに挑める場所を探しましょう。少なくともKDDIは、その場所の一つだと思います。