日本株反発、欧州懸念後退やドル高・円安を好感-全業種上げ
7月5日(ブルームバーグ):東京株式相場は反発。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が長期の低金利維持を言明し、欧州債務問題に対する不安が後退した。為替市場でのドル高・円安も好感され、電機など輸出関連、鉄鋼や非鉄金属など素材関連株を中心に買われ、東証1部33業種は全て高い。
TOPIX の終値は前日比17.87ポイント(1.5%)高の1188.58と反発、日経平均株価 は291円4銭(2.1%)高の1万4309円97銭と3日ぶりに上げ、両指数ともきょうの高値引け。
DIAMアセットマネジメントの武内邦信エグゼクティブポートフォリオマネジャーは、「ECBも英中央銀行も、金利を抑えにいくというマーケットに安心感を与える発言をしたのが良かった」と見ていた。
ECBは4日、政策金利を過去最低で据え置くことを決定。ドラギ総裁は会見で、「ECBの政策金利が長期にわたり現行のままか、それを下回る水準にとどまると、政策委員会は考えている」と言明。「政策委はこの日、予見可能な将来における政策金利について、下方バイアスを加えたということだ。出口は非常に遠い」と述べた。
イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー新総裁も4日、今月の就任後、初めて開いた金融政策委員会で将来の政策に対する考えを示すとともに、政策金利は市場が想定したよりも長期にわたって過去最低に据え置くことを示唆した。
ポルトガル金利低下、米雇用統計期待もドラギ総裁らの発言やポルトガル指導者の間で連立政権維持に努める動きがあることも支援材料となり、きのうのストックス欧州600指数 は2.3%高と、約2カ月ぶりの大幅高。欧州債券市場も上昇し、ポルトガル国債 利回りは低下した。
ECBと英中銀がそろって長期の低金利維持方針を示唆したことは「サプライズ」と話すのは、豪AMPキャピタルの投資戦略責任者、キース・プーア氏。同氏によると、世界経済が成長する中でのこうした政策方針は「業績にも波及効果があるだろうし、株価を押し上げるのは間違いない」と言う。
為替市場では、円は対ドルで100円40銭台まで軟化。きのうの東京株式市場終了時は99円84銭だった。ECB総裁が長期の緩和継続姿勢を示し、ユーロなど欧州通貨に対しドル高が進んだ影響を受けた。また、きのうの米国株は独立記念日で休場だったが、5日に発表される6月の雇用統計を前に、シカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)の米S&P500種指数先物は基準価格に比べ終始堅調だった。
TOPIXは5月23日終値を上回るブルームバーグがまとめた米雇用統計の事前予想では、非農業部門雇用者数は前月比16万5000人増(5月17万5000人増)、失業率は7.5%(同7.6%)の見込み。みずほ証券の稲泉雄朗投資情報部長は、「今回は失業率の改善に市場の焦点が当たっており、改善に向かうなら、ドル高・円安の思惑を呼びやすいことも日本株にプラス」と見ていた。
TOPIXの終値は、5月23日の大暴落翌日の24日以来の水準を回復。大暴落当日の終値を上回るなど、参院選への期待が高まる中、5月下旬からの調整局面は一巡しつつあると言えそうだ。
業種別33指数 の上昇率上位は鉄鋼や非鉄、ガラス・土石製品、証券・商品先物取引、繊維、鉱業、電機、情報・通信、輸送用機器など。東証1部の売買高は概算で28億304万株、売買代金は2兆506億円。値上がり銘柄数は1409、値下がりは233。
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更新日時: 2013/07/05 15:31 JST