Updated: Tokyo  2013/07/05 18:56  |  New York  2013/07/05 05:56  |  London  2013/07/05 10:56
 

【日本株週間展望】戻り試す、国内政治や業績期待-海外警戒

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  7月5日(ブルームバーグ):7月第2週(8-12日)の日本株相場は、参院選後の国内政治の安定化、為替の円安再燃による景気や企業収益の回復期待を背景に、戻りを試す展開となりそうだ。ただ、ポルトガルやエジプトなど海外情勢に不透明感が残り、悪材料が出た場合には波乱リスクもある。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの上野賢司シニア・インベストメントマネジャーは、東京都議選の流れから参院選でも与党が大勝することを織り込む動きになる、と予想。「小泉政権の時と同様に長期政権が築かれ、政治は安定化に向かい、株高につながるとの見方から、海外投資家から先回り買いが入る」とみている。

第1週の日経平均株価 は、前の週末に比べ632円65銭(4.6%)高の1万4309円97銭と3週続伸。円安進行、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が利下げの可能性に言及したことなどが好感された。市場参加者が将来の日経平均の変動率の大きさを予測する日経平均ボラティリティ・インデックス は、5月下旬から6月中旬にかけての乱高下時に急伸。6月13日には46.19と、2011年3月以来の高水準に跳ね上がった。その後は徐々に低下し、4日時点は34.56と落ち着きつつある。

参院選は4日に公示され、21日の投開票に向け選挙戦が始まった。自民、公明の連立与党が非改選と合わせ参院の過半数を握り、衆参両院の多数派が異なる「ねじれ国会」を解消できるかどうかが焦点。安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」の是非などをめぐり、論戦が本格化する。しんきんアセットマネジメント投信の藤本洋主任ファンドマネジャーは、「選挙前は威勢のいいニュースが出てきがちで、参院選までは戻り相場が続く。流れに逆らわない方が良い」と言う。

景気回復じわり

国内では、景気回復期待も高まってきた。日本銀行が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業 でプラス4と、3月の前回調査から12ポイント改善した。プラス浮上は、11年9月調査(プラス2)以来。また、4日公表の日銀地域経済報告では全9地域中、8地域で景気判断が上方修正された。

日本経済の回復を収益に取り込みやすい内需関連に加え、足元の円相場は対ドル100円前後で推移し、輸出関連企業も「業績の先行きには総じて安心感がある。バリュエーションも海外に比べ若干割安」と、損保J興亜アセットの上野氏は指摘する。短観によると、13年度の想定為替レートは大企業製造業で通期1ドル=91.20円だ。ブルームバーグ・データによると、TOPIXの予想株価収益率(PER)は14.99倍、実績の株価純資産倍率(PBR)は1.27倍となっている。米S&P500種株価指数の予想PERは14.66倍、PBRは2.38倍。

第2週は、10-11日に日銀が金融政策決定会合を開き、4月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価も行う。金融政策は変更なしの見方が大勢だが、景気判断を上方修正する可能性はある。しんきんアセットの藤本氏は、黒田東彦総裁は政策を小出しにしないポリシーを表明しており、「足元で国債 市場が荒れているわけでもなく、追加策に動くことはないだろう」とみる。

不確実性高まる海外

国内の政治や景気好転への期待感醸成とは対照的に、海外情勢は不確実性が高まっている。米国では、量的金融緩和第3弾(QE3)の早期縮小が取り沙汰され、中国の金融市場や景気をめぐる懸念、ポルトガルやエジプトの政情不安も足元で予断を許さない。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、米QE3縮小・停止の思惑が高まる局面では、「マーケットが揺れる可能性もあるが、それに対し連邦準備制度理事会(FRB)はアクセルの踏み方を若干緩めるだけで、ゼロ金利そのものは相当長期化する、ということを強調するだろう」と指摘。ゼロ金利政策の長期化観測が織り込まれれば、米国や日本での株高につながる、との見方を示す。

中国では、人民銀行(中央銀行)が短期資金の借り入れ抑制に動いたことをきっかけに、翌日物レポ金利 が6月20日に過去最高水準の13.91%に急騰。その後は、人民銀が流動性の逼迫(ひっぱく)を緩和する姿勢を示し、レポ金利は4日時点で3.31%まで低下した。

米国で決算始まる

SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、短期的には「シャドーバンキング(影の金融)経由の信用拡大に歯止めが掛かれば、マネーサプライの伸び率の低下、成長率の減速につながる公算が大きい」と読む。中国株は短期的なリバウンドの範囲を超えられず、「いましばらくは中国関連業種・銘柄は回避するのが無難」とも言う。

第2週に注視される材料は、米国で4-6月決算の発表が始まり、アルミ生産最大手のアルコアは8日、金融大手のJPモルガン・チェースは12日を予定。このほか、10日にはFRBのバーナンキ議長がボストンで講演する。欧州では8日にユーロ圏財務相会合、9日に欧州連合(EU)の財務相理事会があり、中国では9日に6月の消費者・生産者物価が発表される。

国内では8日に5月の国際収支、6月の景気ウオッチャー調査、9日に6月の工作機械受注、11日に5月の機械受注 、6月の都心オフィス空室率が公表予定。また、9日にはイオン 、10日にエービーシー・マート、11日にはファーストリテイリング が四半期決算を開示する。12日は、株価指数オプション7月限の特別清算値(SQ)算出日だ。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net

更新日時: 2013/07/05 16:07 JST

 
 
 
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