この新連載の前回において、サンフレッチェ広島のミハエル・ミキッチの「日本の若手はなぜ外国のリーグに行きたがるかわからない」という“語録”を取り上げたところ、予想以上に大きな反響があった。かつてないほどに日本人選手が欧州に移籍するようになった今だからこそ、「Jリーグの現在地」を正しく理解することが求められているのだろう。
ただ、前回の原稿の中で、少しばかり説明が足りなかったと反省している部分もある。それはミキッチがブンデスリーガを離れてからすでに6年ほどが経過しており、彼が持っているドイツサッカーの印象はやや古くなっている可能性があるということだ。
2部のアウクスブルクが1部へ昇格する原動力となった細貝の存在。
特に「Jより下」と引き合いに出されたアウクスブルクは、ミキッチがドイツにいた2006年の段階ではドイツ3部のクラブにすぎなかったが、昨季初めて1部への昇格を果たすなど急成長を遂げている。もはや6年前とは“別人”だ。
その上昇曲線を描くのに大きく貢献しているのが、元浦和レッズの細貝萌である。
昨年1月、細貝は2部にいたアウクスブルクに加入すると、ボランチやサイドバックなど複数のポジションでチームの穴を埋め、1部昇格の原動力になった。今季はホームのドルトムント戦で香川真司を密着マークして封じるなど、より存在感を増している。
第2節以降すべての試合に出場しており、今季のブンデスリーガで最も出場数が多い日本人選手でもある。
選手としても、人間としても成長できると思った。
そんな“移籍成功者”の細貝は、ミキッチの「Jリーグより下のクラブに移籍すべきではない」という意見をどう見ているのか? アウクスブルクの練習場で声をかけると、細貝は言葉を選ぶようにゆっくりと答えた。
「常にいろんな記事が出る世界ですから、自分としてはそんなに気にしてない。そもそもアウクスブルクにレンタルで行くことをわかったうえで、レバークーゼンと契約しましたしね。自分としては日本で満足できなくなったということはまったくないし、日本でも成長できると思っています。でも、言葉が通じず、コミュニケーションが簡単にできない場所でプレーすれば、きっと選手としても、人間としても成長できると思った。もちろんいろんな意見があると思いますが、そんなことは自分にとって関係ありません」
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