2013-07-03 04:44:51

中国、株価急落が焙り出す「制度疲労」韓国が接近する「不思議」

テーマ:ブログ
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韓国の目が曇っている
チャイナ・リスク察知

なぜか、中国も韓国も連合戦線を組んで、日本を「目の仇」にしている。中国は「尖閣諸島問題」。韓国は「竹島問題」に加えた「慰安婦問題」である。ともに、日本を不倶戴天の敵にしている。韓国が民主主義国の日本を敵視して、共産中国を友好国扱いする。その精神構造が摩訶不思議なのである。

韓国からすれば、中国経済は「日の出の勢い」と映るに違いない。片や日本経済は「日没する」という対照的な動きに見えるのであろう。だから、日本を敵にしてまで中国側に付くという韓国の「選択」は、彼らにとって至って理に適った行動なのだ。

言うまでもなく、韓国は北朝鮮と政治的・軍事的に緊張関係にある。ひとたび両国間で軍事紛争が起これば、当然に米軍も出動する。その米軍の後方基地は日本に存在する。こうした安保に関わる重大事実を棚上げし、日本を「袖」にしてまで北朝鮮の同盟国・中国陣営へ馳せ参じるのは、改めて理解しにくい行動と言うほかない。

韓国の目が曇っている
韓国が期待しているように、中国経済は今後とも高度成長が可能か否かである。その点から見ると、韓国が日本を衰頽国扱いしてまで中国陣営に身を投じるのは、近視眼的な行動の誹(そし)りを免れない。それを見事に証明したのは6月24日、株価(上海総合指数)の前日比5.3%の急落である。中国経済がバブル崩壊過程にある事実を浮き上がらせたのである。日本のバブル崩壊が示したように、中国もバブル崩壊の後遺症が深刻化することは不可避である。よりによって韓国は、中国のバブル崩壊まっただ中において、日本から中国へと「船を乗り換える」のである。余りにも、先見の明がないのだ。

中国の社会主義市場経済は、「制度疲労」を起こしている。政治が経済に介入するシステムは、右肩上がりの経済成長を続けている場合、内部矛盾を隠している。だが、「人口ボーナス期」を過ぎて、生産年齢人口比率が低下する「人口オーナス期」では、社会主義市場経済の抱える内部矛盾は否応なく露呈する。具体的には、過剰設備と過小消費という形で中国経済を「半身不随」にしているのだ。これぞ、まさに「制度疲労」と呼ぶべきものである。韓国がこの中国経済の「宿痾」を見抜けなかったとすれば、「日本憎し」という最近の感情論が理性的な判断を誤らせたのである。

中国の政治行動の根幹は、一貫した「日本憎し」である。日中間に何らの懸案事項が存在しない時でも、「反日教育」や「反日ドラマ」を通して、中国国民に中国共産党の正統性を植え付けてきた。日本はいくら「侵略戦争」への反省を繰返しても、それを受け入れるわけがなかった。共産党自らの正統性の基盤を失うからである。日本のわずかな言動を捉えて「右傾化」「軍事化」と大声で叫び、間接的に共産党の正統性へと繋げてきた。

日本をことさら敵視する政策が、中国経済をバブルに追い込んだのである。日本をGDPで追抜き、それを背景にした軍事力で日本を「睥睨」(へいげい)することが唯一、最大の「国策」でもあった。その報いが現在のバブル崩壊へとつながり、中国経済をこれから塗炭の苦しみに追い込むのである。それは、社会主義市場経済の崩壊でもあり、制度疲労のもたらした不可避的な結末である。

『人民網』(6月24日付け)は、「金に困っていなかった中国が資金不足に陥った訳は?」という論説(筆者は石建勲・同済大学財経研究所所長、同経済・管理学院教授)を次のように掲げた。

①「現在の中国の資金不足(注:銀行間の短期資金貸借)は、多かれ少なかれ米国が量的緩和政策を引き上げようとしたことによるホットマネー流出への期待と関係があることは否定できない。米連邦準備制度理事会(FRB)が打ち出した量的緩和政策はすでに効果を上げ、現在の米国は明らかに経済復興の流れにあり、量的緩和政策から徐々に撤退することは当然の選択だ。米国がひとたび量的緩和政策から撤退する戦略を実施すれば、グローバル経済、グローバル金融市場、資産価格が新たなダメージを受けることは確実だ。これについて、世界各国は十分な備えをする必要があり、一時的な資金不足のために流動性を放出し、より大きな損失を招くようなことをしてはならない」。

②「中国経済は資金が不足するのではなく、不足するのは、金融が実体経済にサービスを提供するための整ったメカニズムと体制的な保障だ。中国の株式市場は資金が不足するのではなく、不足するのは、信頼感と投資家を保護する整った保護メカニズムだ。これらのためには改革を継続的に深化させることが必要だ。現在の資金不足は一時的なものであり、中国政府は明らかになった問題を高く重視するようになった」。

中国は、米国が超金融緩和政策の「出口」を求めて動き出していることに、一定の理解とその影響を最小限に食い止めるように主張している。これまで中国へと流入していた「ホットマネー」(短期資金)が、一転して流出することに伴う資金需給の逼迫化を警戒している。「世界各国は十分な備えをする必要があり、一時的な資金不足のために流動性を放出し、より大きな損失を招くようなことをしてはならない」としているのは、中国も同様な対応策をとると言外に言っているのだ。つまり、国内の「資金不足」が起こっても、簡単に貴重な外貨を放出しない、という意味なのだ。中国人民銀行が資金供給を渋ってきた背景にはこれがあったのである。

中国の流動性は十分すぎるほど供給している。それにも関わらず、なぜ、銀行間の短期資金取引で資金不足が起こっているのか。この疑問に対して、「金融が実体経済にサービスを提供するための整ったメカニズムと体制的な保障だ」としている。その通りである。つまり、現在の「社会主義市場経済」が制度疲労を起こしているのである。政治が経済活動に干渉する現在の経済システムでは、金利の全面自由化という市場機能による最適な資源配分を阻害しているのだ。これでは、資金が真に必要な分野に回らず、不動産開発という「暴利」を得られる分野に集中して、国民生活に不可欠な福祉や生活インフラの充実には回らないのである。

こうした経済システムがいつまで存在しうるのであろうか。いわば、寿命が切れた経済システムを後生大事に庇(かば)っている現在の政治体制では、中国の未来が明るいものになるわけがない。韓国はそのことに全く気づかず、ただ「日本憎し」で「親中派」転向という、とんでもない選択をしてしまったのだ。

チャイナ・リスク察知
韓国紙『朝鮮日報』(6月24日付け)は、次のように中国経済への警戒論を唱え始めた。

③「中国経済は、今年3月に正式に発足した習近平政権の転換期リスクに苦しんでいる。中国の新政権は発足と同時に、中国経済をこれまでの高速成長から中速成長に、経済の中心軸を輸出ではなく内需に転換することを宣言した。世界的な金融危機の中で、中国経済がはらんでいるバブルを取り除き、経済構造を改革する姿勢を示した格好だ。その直撃を受けたのが金融市場だった」。

④「中国の転換期リスクは、実体経済の面に強く反映される可能性が高い。輸出よりも内需を刺激するというのが、中国の新政権の基本的立場だが、腐敗撲滅を同時に掲げているため、輸出と内需が同時に低迷する可能性もある。中国政府指導部は、『経済再生』よりも反腐敗運動などに力を入れている。閣僚級を除く公務員の食事代を1食150元(約2400円)以下にする規定が設けられたとのうわさも流れた。年間80億元(約1280億円)に達する中国の公務員の事務費が抑制され、消費の伸び率が年14%から12%台に低下するとの見方もある」。

⑤「中国の景気低迷は韓国経済には深刻な悪材料となる可能性が高い。韓国の昨年の対中輸出は1343億ドルで、米国(585億ドル)、日本(387億ドル)の合計を上回る規模だった。全国経済人連合会(全経連)が韓国の製造業で売上高上位400社の中国法人を対象に実施した今年下半期の企業景気実査指数は、基準値(100)を大きく下回る90.7にとどまった。中国の景気動向を否定的に捉える韓国企業が多いことを示している」。

通読すると、韓国が中国経済に対してかなり慎重な態度を取り始めたことが分る。中国新指導部が、「経済再生」よりも「反腐敗闘争」に取り組んでいると正確に把握しているのだ。中国新政権は、経済の中心軸を輸出ではなく内需に転換することを宣言したものの、「反腐敗闘争」が全面に出ているため、肝心の内需転換が置き去りにされている。これでは経済成長にとって決定的なマイナス材料であることは当然であろう。

そうかと言って、「反腐敗闘争」をないがしろにしろと言うわけにも行かない。中国4000年の歴史は、政治腐敗の歴史でもあった。金銭に汚い民族特性を考えると、習近平政権が一片の通告によって、急に成果を上げられるという類の話ではない。息の長い取組みになるので、「第二の文化大革命」的な要因も否定しきれないのである。「反腐敗闘争」が中途半端な形に終われば、それこそ共産党政権にとって回復しがたいダメージになる。となると、少なくも今後10年間、習近平政権が続く限り中国経済は内需転換がお題目に終わる公算も強いであろう。

こうした中国の経済情勢を前提にすれば、韓国経済はどうなるのだろうか。韓国が、中国への政治的な協力度合いを強固なものにすれば、日米関係はそれだけ疎遠にならざるを得ない。そうなると、韓国経済は「虻蜂取らず」になる恐れが強くなるに違いない。日本はASEAN(東南アジア諸国連合)との協力関係を一段と蜜にして、韓国への重要な技術情報を提供することに躊躇するであろう。日本技術あっての韓国経済である。中国を過大に評価し、逆に日本を軽視するという韓国の跛行的な外交政策は、韓国経済にとって回復しがたい禍根を残すであろう。

日本はアベノミクスによって再興しようという動きを強めている。中国と同様に韓国も、それを正当に評価しようという姿勢が微塵も見られないのだ。韓国は、「慰安婦問題」と「円安問題」だけを議論しているだけである。日本が過去の「失われた20年」から脱出しようとして、果敢に取り組んでいることを真面目に取り上げていないのである。韓国や中国に見られる日々の日本分析には、そうした痕跡は全くといってよいほど欠落している。これでは、日本の実力を見誤るのも致し方あるまい。中国経済が6%成長路線を切って混迷の度を深くするとき、韓国は再び日本に顔を向けてきても「ツー・レート」になるであろう。

韓国紙『中央日報社説』(6月22日付け)は、次のように論じている。

⑥「中国政府の対処によってクレジットクランチ(信用収縮)懸念は早期に鎮火できる。しかし、成長鈍化は避けられないため、韓国経済は相当な衝撃を受けることになるだろう。中国は韓国の輸出の25%を占める最大貿易国だからだ。今年に入って(韓国の)輸出が振るわないなか、中国の成長鈍化で輸出が減少すれば、韓国は今年2%台の低成長も達成できないだろう。政府の緊急対処を強調する理由である。中国経済の行方に注視し、各シナリオ別の対応策を用意するなど徹底的に備える必要がある」。

韓国は中国経済不振に対する「保険」を付けるという意味でも、日本との関係は良好なものにしておくのが常識であろう。ところが、全くあべこべな対日強硬姿勢である。中国のGDPが世界2位になったことを背景にして、韓国人特有の『事大主義』(自主性を欠き、勢力の強大な者につき従って、自分の存立を維持するやり方)が、鮮明になっているのだ。つまり、韓国が日本を軽視して中国側に付くことによって、優越感にしたっている。虎の威を借りる行動である。なんとも民族としてみっともない振る舞いである。

『日経ビジネスオンライン』(6月20日付け)では、「中華世界復活を喜ぶ韓国人」と題して、次のように伝えている。以下の発言は鈴置高史氏である。

⑦「韓国人は中国人と異なって、何でもしゃべってしまいますから、失われた100年(注:日清戦争以降、日本の支配下にあったこと)の間も『精神文化では俺たちの方が日本人よりもはるかに上だ』とつぶやき続けてきました。日本の高度成長が世界から称賛されたとき、韓国紙は『エコノミック・アニマル』たる日本人の倫理性の低さを毎日のように説いていました」。

⑧「経済的に日本に追いついたと韓国が自信を深めたここ数年は、倫理性の高い平和国家、韓国が戦犯国家たる日本を叱る――というノリに切り替わっています。韓国人がいわゆる『従軍慰安婦』の像をソウルのみならず米国に建て始めたのも、その思いの具体化でしょう。個々人と話していても、日本に対する上から目線がはっきりしてきました。東アジアで最も民主的で開放的な国の民が、閉鎖的で遅れた国の民に口をきいてやっている、という姿勢で話す人もいます。その中には、10年ほど前までは日本人には揉み手せんばかりに近づいてきた人もいます」。

韓国人の日本人に対する「目線」は、中国人と同じようである。日本を「格下」に見ることによって「自己満足」しているのだ。だから、日本についての正確な情報をもたずに、観念的に自らの優位という前提で日本を見下しているのであろう。なんとも哀れに思うが、何百年もの間、日本蔑視できたのだから今さら目を覚ませと言っても不可能である。ここは致し方ない。中国も韓国も経済的に行き詰まるところまで行ってもらい、そこで改めて日本の持つ総合力(ソフトパワー)を認識して貰うしか方法がないのだ。日本を除け者にして喜んでいる様は、中韓ともに児戯と言わざるを得ない。両国とも、将来への禍根を残すだけである。

(2013年7月3日)





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コメント

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1 ■無題

日本人は大昔から文化・芸術を大切にし育ててきた。中国人も韓国人も感情的になると、何でも捨てる。だから技術が育たない。ずっと日本が不景気だったと言ってもGDPは二位を維持し続けてきた。この実力を中国も韓国も知るべきだろうと思う。中国人も韓国人も壊すのが好きな民族ですね。

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