とっとり・キャンパる:鳥取問題 全国最少人口、スタバなし 深夜番組で話題、学生の本音は… /鳥取
毎日新聞 2013年06月26日 地方版
「鳥取問題」をご存じだろうか。タレントのマツコ・デラックスさん出演の日テレ系の深夜番組「月曜から夜ふかし」で注目を浴びた。全国最少の人口、「スターバックスコーヒー」がない−−などの「悲しみ」を乗り越え、胸を張って鳥取出身と言うことを目標に地域を見直そうとの編成だった。「鳥取スペシャル」(昨年7月)放送時には山陰地方の視聴率が深夜にもかかわらず18・3%、番組占拠率に至っては52・8%(同番組調べ)を記録した。【鳥取大3年・長谷川真衣】
◇“悲しみ”より“注目”に喜び
まずは、鳥取の悲しみを知るところから始めるべきだろう。全国最少の人口は現在年間3000人のペースで減少し、仮にこのペースで減り続けると「195年後には誰もいなくなる」▽豪雪地だが夏は暑く、熱中症緊急搬送率は2年連続全国1位▽鳥取市のカレールー消費量が全国1位で「カレー大国計画」を立てたが、08年には消費量を佐賀市に抜かれる−−。洋服を買うためにもわざわざ都会まで出向く人もいる。
問題はお隣の島根県との「鳥取島根問題」まで発展することとなった。「島根の方が鳥取よりも影が薄い」と島根県民が声をあげたことに端を発する。島根県はインターネットユーザーを対象にして行われる調査で「気にかけたことのない県はどこ?」というアンケート調査で第1位。出身地を聞いてどうリアクションしていいかわからない都道府県ランキング第1位。気に掛けてもらえないことが島根の悲しみ。「鳥取はまだネタになるだけましだ」というのだ。
この問題。“当事者”たちはどう思っているのか。鳥取大で学生たちに聞いてみた。
「互いが自分の方が可哀そうな所を自慢してそれによって注目を集められることを喜んでいるからそれはそれでいいかなって思う」(鳥取県出身)「取り上げられることが嬉しい」(島根県出身)とそもそも話題になったことは嬉しいようだ。
だが、そろっているのは「大した差はない」という返答だ。「所詮どちらも田舎」「そもそもスタバがなくて何が困るのか」「今の生活に困っていない」「可哀そうな所で笑いはとれるけど観光客が増えるわけじゃない」「自分のまちの悪いところばかり指摘し、いいところを知らない人が多いってとこでみたら両方可哀そう」などシビアな考えも多い。