【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は4日の記者会見で、政策金利の引き下げを視野に入れていることを明らかにした。低金利政策の長期化も表明した。ポルトガルの財政運営への懸念から市場が不安定になっており、緩和路線の継続を市場関係者に印象付ける狙いとみられる。
4日のロンドン外国為替市場ではドラギ総裁の発言を受けて通貨ユーロが売られ、対ドルで一時1ユーロ=1.29ドルを下回る水準まで急落した。ポルトガル国債にも買いが入り、10年物国債利回りは7.1%に低下(価格は上昇)した。
ECBは4日の理事会で、ユーロ導入17カ国に適用される政策金利を過去最低の0.5%で据え置くことを決定した。理事会後の記者会見で、ドラギ総裁は「金利は現行水準か、それより低い水準に据え置く」との声明文を読み上げた。米連邦準備理事会(FRB)は量的金融緩和策の年内縮小に動き始めたが、ECBはこれに追随せず、一段の金融緩和を探っているとのメッセージを市場に送った格好だ。
ECBは今年夏以降に政策金利を0.25%引き下げる可能性がある。金融機関が企業向け融資を縮小する「貸し渋り」が目立つ場合には民間銀行がECBに資金を預け入れる際の金利をマイナスに下げ、融資拡大を促す措置も検討する構え。
記者会見でドラギ総裁はさらに「(金融緩和からの)出口は遠い」とも語った。これまでECBは表向き「金融政策は事前に予告しない」と繰り返してきたが、その方針を大幅に修正。当面は低金利政策を続けることを公約した。
ユーロ圏では景気低迷が長引き、下振れリスクも高まっている。先行き不透明感に加え、ポルトガルでは財務相ら閣僚の辞任で財政再建が遅れる懸念も出ている。ECBは再び欧州危機が深刻になるのを警戒。利下げで不安の払拭を狙う。
ドラギ、ECB
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